5月の時候の挨拶
季節に応じた時候の挨拶は、四季の移り変わりがはっきりしている日本ならではの習慣といわれています。特に目上の方やお世話になった方へ、改まった手紙を書く場合に時候の挨拶は欠かせません。
ビジネスシーンにおいても、社会人としての教養やマナーを表わすものとして求められる場合があります。ここでは、「新緑の候」をはじめとする5月の時候の挨拶の言葉を文例と共に見ていきましょう。
季節を感じる時候の挨拶文例【5月上旬】
まずは、5月上旬に使える時候の挨拶を取り入れた文例から見ていきましょう。季節の特徴を自然物や気候で表現する言葉を使います。俳句で使われている季語や二十四節気、七十二候なども人気です。
5月は季節で言うと初夏。爽やかで過ごしやすい気候になる月です。4月下旬から続くゴールデンウィークがあるので、祝日も5月上旬らしい時候の挨拶になるでしょう。
5月上旬に使いたい時候の挨拶のキーワード
時候の挨拶には、もちろん季節感のある言葉が選ばれています。5月のキーワードは、初夏の爽やかさ。俳句の季語にもなっている薫風や緑風など、5月の気候を感じさせる言葉はおすすめです。
さらに、「新緑の候」「若葉の候」なども人気。5月上旬は二十四節気でいうと「立夏(りっか)」にあたります。七十二候では「牡丹華(ぼたんはなさく)」や「蛙始鳴(かえるはじめてなく)」。これらも5月上旬に使う時候の挨拶のキーワードになります。
5月上旬の時候の挨拶①親しい相手向けの文例
ご家族やお友達など、親しい相手へ書くカジュアルな手紙やメールに使いたい5月上旬の時候の挨拶は、この時期ならではの風物も人気があります。
文例には「鯉のぼりが青空に泳いでいます。」「ゴールデンウィークもたけなわ」「お花屋さんにカーネーションが並ぶ季節」など、子どもの日や母の日など初夏の行事を感じさせる表現が挙げられます。
さらに、5月上旬に咲く牡丹や藤、ルピナスなど季語でもある色鮮やかな花々を取り入れた言葉も素敵です。
5月上旬の時候の挨拶②改まる相手向けの文例
改まった相手に書く手紙やメールに使いたい5月上旬の時候の挨拶には、かしこまった雰囲気がある漢文調の表現を選んでみましょう。初夏の若葉の瑞々しさを表現する「新緑の候」もおすすめ。
「新緑の候」は、5月上旬に限らず5月いっぱいはいつでも使えるので覚えておくと便利です。「新緑の候、いかがお過ごしでしょうか。」のように「新緑の候」に安否の挨拶を添えてもいいですね。
ほかに、「若葉したたる好季節」「牡丹の花が咲き誇り」なども文例に挙げられます。
5月上旬の時候の挨拶③ビジネス向けの文例
ビジネスシーンでも、「新緑の候」のような漢語調の文体がおすすめです。さらに、ビジネスメールやビジネス向けの手紙では、個人向けではなく会社や団体に対しての言葉を組み合わせることがポイントになります。
文例は「新緑の候、貴社におかれましてはますますご隆盛のことと存じます。」「新緑の候、皆様におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」などです。
「新緑の候」に代表される「~の候」のパターンは、ビジネス向けの時候の挨拶には欠かせません。
季節を感じる時候の挨拶文例【5月中旬】
続いて、5月10日ごろから20日ごろまでを指す中旬の時候の挨拶文例を見ていきましょう。東北や北海道などは5月中旬に入ってようやく気候が安定し初夏らしさを感じるそう。
お手紙やメールを送るお相手の環境に合わせた言葉を選ぶことがポイントになります。お住まいの地域が分からない場合は、5月中いつでも使用できる「新緑の候」などがおすすめです。
5月中旬に使いたい時候の挨拶のキーワード
5月中旬は七十二候の「蚯蚓出(きゅういんいずる)」「竹笋生(ちくかんしょうず)」にあたります。それぞれ、ミミズが地上に出てくる、タケノコが生えてくるという意味の言葉です。生物のエネルギーも感じさせますね。
また、シャーレーポピーやラベンダー、ライラックにスズランなども美しく咲く時期になります。
「新緑の候」に比べると、花の名前がカタカナ表記なのでカジュアルなお手紙やメールにおすすめの言葉です。俳句の季語にもなっている「夏めく」や「夏立つ」も時候の挨拶に使えます。
5月中旬の時候の挨拶①親しい相手向けの文例
身近にいる親しい相手に送る手紙やメールに使う時候の挨拶は、かしこまり過ぎない表現がおすすめです。とはいえ、5月中旬らしい季節感を表わす言葉は必須。上述したキーワードを上手に取り入れてみましょう。
文例としては「タケノコが地面から顔を出す季節となりました」「庭のライラックがピンクや紫の花を咲かせ、香しい季節の到来となりました。」「色鮮やかなポピーが花開き、心華やぐ季節となりました。」など、日常生活の中で感じる初夏を表現が挙げられます。
5月中旬の時候の挨拶②改まる相手向けの文例
続いては、改まった相手に書く手紙やメールに使いたい5月中旬の時候の挨拶です。きちんと感を演出するためには、季語を取り入れてみませんか。
「爽やかに夏めく日々、いかがお過ごしでしょうか。」「心地よい風が吹き抜ける新緑の候、皆様お元気ですか。」のように安否の挨拶も添えるとより丁寧さが伝わります。
「清楚なスズランが楽しめる季節となりましたが、お変わりございませんか。」など、花期を迎える植物名を入れても素敵です。
5月中旬の時候の挨拶③ビジネス向けの文例
5月中旬のビジネスメールに使いたい時候の挨拶でも、初夏の爽やかさをきちんと表現することがポイント。おすすめの「新緑の候」をはじめ「立夏の候」「夏めく日々」「薫風緑樹をわたる好季節」といった表現から入りましょう。
これらの後には、手紙やメールを送る相手の繫栄を喜ぶ言葉が続きます。
「貴社の皆様におかれましては、より一層活気に満ちていることと存じます。」「皆様には一段とご清栄のご様子、心よりお喜び申し上げます。」などが文例です。
季節を感じる時候の挨拶文例【5月下旬】
最後は、5月20日を過ぎて31日までを指す下旬に使える時候の挨拶を見ていきましょう。初夏も終わりが近づき、梅雨が始まる地域もあるかもしれません。
梅雨や暑さに対しては、ポジティブな印象のある「恵みの雨」という表現やエネルギー感が伝わる言葉選びがポイントです。「向暑の候(こうしょのこう)」のような夏の季語も取り入れてみましょう。
5月下旬に使いたい時候の挨拶のキーワード
5月下旬は二十四節気でいうと、あらゆる生命が満ち満ちていく時期という意味の「小満(しょうまん)」にあたります。また、七十二候では「蚕起食桑(かいこおこってくわをくらう)」「紅花栄(こうさかう)」。
絹の原料にもなる蚕とベニバナオイルや染色の原料になる紅花が成長する様子を表す言葉です。これらも5月下旬の時候の挨拶のキーワードになります。
さらに、5月下旬は、田植えの準備もスタート。少しずつ本格的な夏を感じる時期ですね。
5月下旬の時候の挨拶①親しい相手向けの文例
親しい相手に使いたい5月下旬の時候の挨拶は、初夏から本格的な夏へと季節が移り変わっていく様子を伝える表現がおすすめです。
「汗ばむような陽気の日も多くなっていますが」「照りつける日差しにも夏の気配が感じられるこのごろ」また「梅雨の走りかと思うような日々が続いていますが」という表現からは、初夏から夏へと向かっていく季節感が伝わってきます。
「紅花の鮮やかな黄色がまぶしい季節」など、キーワードを盛り込んでもよいでしょう。
5月下旬の時候の挨拶②改まる相手向けの文例
改まった相手に書く手紙やメールに使いたい5月下旬の時候の挨拶は、きちんとした丁寧な文体がポイントです。さらに、時候の挨拶と安否の挨拶を組み合わせるとコミュニケーションがより円滑になります。
「走り梅雨に濡れ、木々の緑も深みを増すこのごろ、ご平安にお過ごしのことと存じます。」「若葉のフレッシュな香りに伸びやかな気持ちになるこの頃、ご家族の皆様もお元気でお過ごしのことと拝察いたします。」などが文例です。
5月下旬の時候の挨拶③ビジネス向けの文例
5月下旬に送るお仕事相手への手紙やビジネスメールでも、季節の変わり目に関する時候の挨拶がおすすめ。そのあとに続けるのは、お相手の繁栄を喜ぶ言葉や日ごろの感謝の言葉です。
「万緑のみぎり、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。」「新緑の候、貴社におかれましてはいよいよご隆盛の段、大慶に存じます。」「薄暑の候、平素は格別のご高配をいただき心から感謝申し上げます。」などが文例として挙げられます。
5月の手紙には時候の挨拶を使ってみよう
手紙やメールには、決まった形式があります。身近な家族や親しい友達にはカジュアルな文体でもOKですが、改まった相手やビジネスシーンで送る手紙やメールには、書き出しに時候の挨拶を書くようにしましょう。
特に、ビジネスシーンでは5月中はいつでも使用できる「新緑の候」のように、きちんとした印象を与える漢語調がおすすめです。社会人としての教養やマナーを表わす時候の挨拶を上手に取り入れてみませんか。
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