ワクワクドキドキのおすすめ冒険小説
冒険小説とは、冒険的要素がある小説のことです。秘境や未開の地のようなまだ見ぬ世界を舞台にした作品だけでなく、海や山、戦争や革命、歴史的事件など背景はさまざま。
現代では、スパイ小説やアクション小説も含め、エンターテイメント小説全般を広義での冒険小説と称するようになっています。ここでは、大人もワクワクドキドキが楽しめる日本と海外の人気冒険小説をおすすめしていきます。
おすすめの冒険小説《日本》
44年もの間旅をする冒険小説『旅のラゴス』
まずは、日本人作家によるおすすめ冒険小説から見ていきましょう。
1986年に発行された『旅のラゴス(筒井康隆)』は、「先祖の書物を読破する」という目的のために旅をするラゴスが主人公の冒険小説です。
舞台は、黄色い星を脱出した1000人の移住者がたどり着いた「この地」。文明が失われた「この地」を、ラゴスは44年間かけて旅をします。
日本の「SF御三家」とも呼ばれる人気作家によるおすすめ冒険小説です。
名作『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』
ベストセラー作家として知られている村上春樹の最高傑作とも称される『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は、章毎に2つの世界を行き来する構成になっているおすすめの長編冒険小説です。
計算士がトラブルに巻き込まれていく世界と、壁に囲まれた静かな世界が描かれます。同作者の『1Q84』も、冒険小説としておすすめです。
美しく暴力的なノワール冒険小説『不夜城』
1996年に出版された『不夜城(馳星周)』は、新宿・歌舞伎町を舞台に、中国人マフィアたちが勢力争いを繰り広げている世界を描いたおすすめの冒険小説です。
主人公は日本と台湾のハーフである劉健一。暗黒小説、ハードボイルド小説、アクション小説としても楽しめるおすすめ作品です。
映画化もされ、『鎮魂歌―不夜城II』『長恨歌―不夜城 完結編』の3部作になっています。
清朝時代の立身出世冒険小説『蒼穹の昴』
明治19年から明治32年までの清朝末期を舞台にした『蒼穹の昴(浅田次郎)』は、歴史小説の側面もあるおすすめの冒険小説です。
貧しい生まれの李春児(チュンル)は、宦官となろうとします。
科挙の試験を受け官僚階級をのぼっていく幼馴染の文秀(ウェンシゥ)と袂を分かち、西太后の寵愛を受けて出世していく春児の姿を描くおすすめの長編冒険小説です。
ファンタジー冒険小説『ブレイブ・ストーリー』
続いてのおすすめ『ブレイブ・ストーリー(宮部みゆき)』は、現世(うつしよ)と幻界(ヴィジョン)という2つの世界が描かれています。
主人公の亘は、壊れた家族を取り戻すべく異世界である幻界へと向かうのです。
時代小説、SF小説、社会小説と幅広いジャンルで旺盛に執筆をされている日本を代表する人気作家が描く冒険小説は、根底に深く強い人間愛を感じます。
こちらを原作にしたアニメ映画もおすすめです。
殺し屋の人間模様を描く冒険小説『ダイナー』
殺し屋御用達の会員制ダイナー「キャンティーン」を舞台にした冒険小説『ダイナー(平山夢明)』もおすすめです。
絶品料理を作るシェフは、元腕利きの殺し屋という設定。
裏社会に関わってウエイトレスをさせられることになるカナコが、お客として訪れる殺し屋たちの人間模様に触れていきます。
本作を原作とした漫画や、シェフを藤原竜也、カナコを玉城ティナが演じた映画もおすすめです。
心を伝える冒険を描く『ジャパン・トリップ』
ハードな冒険小説は苦手、という人にもおすすめしたいのが、こちら。
オーストラリアの小学生が日本へのスクールトリップに参加したオーストラリアの小学生たちの姿を描く『ジャパン・トリップ(岩城けい)』も、おすすめの冒険小説です。
言葉も習慣も違う国での生活は、ある意味異世界暮らし。
コミュニケーションや未知の経験にぶつかっていく感覚が、オーストラリア在住の作者ならではの視点で描かれています。
手に汗握る展開の冒険小説『サハラの薔薇』
王道の冒険小説としておすすめするのは、『サハラの薔薇(下村敦史)』。
考古学者の峰が発見した石棺には呪いの言葉が刻まれ、中には死後数か月のミイラが収められていました。
このミイラをめぐって生死を賭けたサバイバルが繰り広げられます。
カイロからパリに行くための飛行機がサハラ砂漠に墜落し、生き残りの6名がオアシスを目指すなか殺し合いになっていく展開もおすすめの冒険小説です。
近未来お仕事冒険小説『インナーアース』
地図製作会社の若手社員・駒木根を主人公とする『インナーアース(小森陽一)』は、近未来を舞台にしたおすすめの冒険小説です。
幼少期からの洞窟好きで大学は探検部所属という主人公が課せられたミッションは、日本海の地下20キロメートルにある広大な空洞を探索し地図化するというもの。
映像化の期待も高まる、おすすめのお仕事冒険小説です。作者は漫画の原案や原作も数多く手掛けています。
シリーズもののおすすめ冒険小説『新宿鮫』
冒険小説の中にはおすすめの人気シリーズがいくつもあります。
その中でも『新宿鮫(大沢在昌)』は、映画化、ドラマ化、漫画化もされている人気の高いおすすめの名作です。主人公は新宿署の鮫島警部。
キャリアでありながら警察内部の抗争に巻き込まれて腫れもの扱いにされているという設定です。
鮫島の圧倒的な強さと孤独がたまらない大人のハードボイルド小説でもあります。長編が11巻まで刊行され、続編が雑誌連載中です。
おすすめの冒険小説《海外》
風刺に満ちた名作中の名作『ガリヴァー旅行記』
続いては、海外の冒険小説をおすすめしていきましょう。
18世紀に発表された『ガリヴァー旅行記(ジョナサン・スウィフト)』は、冒険小説の名作中の名作としておすすめです。
古典名作であることはもちろんですが、今読んでも新鮮な驚きがあるでしょう。
有名なエピソードはガリバーが小人国と巨人国に行く章ですが、それ以外にも空飛ぶ島ラピュータや日本の江戸、そして言葉を話す馬の国にも訪れています。
ハイファンタジーの名作冒険小説『指輪物語』
映画も大ヒットし、ロケ場所であったニュージーランドの「ホビット村」も今なお人気の観光地となっている名作冒険小説『指輪物語(J・R・R・トールキン)』も、おすすめから外すわけにはいきません。
世界各地で翻訳され、20世紀を代表するハイファンタジー冒険小説と称されています。
ホビットやトロル、エルフといった異種族の仲間たちが闇の勢力との戦いを繰り広げるおすすめ長編冒険小説です。
ノーベル賞作家による不朽の名作『蠅の王』
続いてのおすすめは、疎開地へ向かう飛行機が墜落し南太平洋の無人島に漂着した少年たちを描く『蠅の王(ウィリアム・ゴールディング)』です。
リーダーシップを発揮する少年と、それに反発し放埓に過ごす少年の対立を通し、人間の持つ暴力性や狡猾さなど負の面が照射されます。
閉塞された状況の中で芽生える少年たちの内なる獣性の描写がスリリングなおすすめの冒険小説です。
魔法使いを主人公とする冒険小説『ゲド戦記』
続いてのおすすめは、ジブリ映画の原作としても知られる『ゲド戦記(アーシュラ・K・ル=グウィン)』。
長編5巻に外伝もある大作冒険小説です。アースーシーと呼ばれる世界を舞台に、魔法使いゲドの冒険譚や成長物語が綴られています。
上述の『指輪物語』と共に、海外では英語圏におけるファンタジーの名作として名高いおすすめの冒険小説です。作者は、すぐれたSF小説も発表しています。
脱獄囚による自伝的冒険小説『パピヨン』
胸に蝶のタトゥーを入れ、パピヨンと呼ばれた男の脱獄と逃亡を描く冒険小説『パピヨン(アンリ・シャリエール)』は、世界的にヒットを記録した名作です。
パリの暗黒街で暮らしていた男が、殺人罪で終身刑となり投獄されます。
彼は19世紀にナポレオンによって作られた脱獄不能と呼ばれた流刑地を脱獄するも逮捕。
別の監獄に収監されても脱獄を繰り返します。手に汗握る逃亡劇が楽しめる自伝的冒険小説です。
美しい冒険ファンタジー『はてしない物語』
『はてしない物語(ミヒャエル・エンデ)』は子どもから大人まで楽しめる冒険ファンタジー小説です。
主人公の少年が手にした本の世界「ファンタージエン」の描写は正に王道ファンタジー。
美しい女王・幼ごころの君や幸いの竜・フッフールなど、異種族のキャラクターも満載です。
物語の公判で主人公自身が本の世界へと入っていく様は圧巻。映画化もされています。
ベストセラー『アルケミスト 夢を旅した少年』
世界67か国で翻訳され、ロングセラーを続けるおすすめ冒険小説『アルケミスト 夢を旅した少年(パウロ・コエーリョ)』も、是非手に取ってみてほしい名作です。
大切なもの、求めていたものは実は身近にあったというシンプルで寓話的なストーリーは、世代を超え時代を超え愛されています。
作中繰り返し伝えられるポジティブメッセージが響いてくるおすすめの名作冒険小説です。
有名スパイを描く『007 逆襲のトリガー』
冒険小説の中には、スパイ小説も含まれます。誰もがその名を知るスパイといえば007、ジェームズ・ボンド。
彼を主人公にした『007 逆襲のトリガー(アンソニー・ホロヴィツ)』は、007の生みの親でもあるイアン・フレミング財団が公認しているおすすめ作です。
本作でのMからの指令は「カーレースに出場し、ソ連の陰謀から英国人レーサーの命を守れ」というもの。
ボンドがたどり着く真相を予想しながらアクションも楽しめます。
新たな文明の発展が描かれる『時の子供たち』
『時の子供たち(エイドリアン・チャイコフスキー)』は、宇宙を舞台に繰り広げられるおすすめのSF冒険小説です。
人間は、終わりを迎えようとしている地球から脱出した宇宙船で難民のように生きています。
妨害工作で失敗したテラフォーミング計画に代わり、ナノウイルスによって選ばれた新たな宿主・蜘蛛は文明を発展させていくというおすすめのストーリーです。
2021年本屋大賞『ザリガニの鳴くところ』
最後におすすめしたい冒険小説は、ジャンル的にはミステリー小説に分類されるものかもしれません。
2021年本屋大賞翻訳小説部門第1位に輝いた『ザリガニの鳴くところ(ディーリア・オーエンズ)』です。舞台はアメリカの南東部。
6歳で独りぼっちとなった少女カイアの死と差別に満ちた成長譚は、場所の移動や派手なアクションはありませんが、まぎれもない冒険ではないでしょうか。
おすすめの冒険小説でハラハラドキドキ
日本人作家、海外作家によるおすすめ冒険小説をピックアップしました。大人も夢中になれる面白い名作ばかりです。
秘境や未知の場所を探検したり冒険したりするストーリーだけでなく、SFやミステリー、ファンタジーの要素もある冒険小説は、ハラハラドキドキの連続かもしれません。お家時間が長くなっている今、おすすめ冒険小説を楽しんでみませんか。
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