色々なジャンルのおすすめクリスマス小説
日本では、クリスマスというと小さなお子さんのいるファミリーのホームパーティーやカップルたちのロマンティックな日、というイメージが強いかもしれません。海外では、クリスマスは家族が一堂に会する日。
日本でいうところのお正月のような意味があります。そんなクリスマスをテーマにしたおすすめの小説は、ミステリー、ロマンス、ドラマとさまざま。クリスマスをテーマにした素敵な物語を楽しんでみませんか。
クリスマスがテーマの小説《海外》
王道のクリスマス小説『クリスマス・キャロル』
まずは、クリスマスをテーマにした海外の小説から見ていきましょう。
王道人気のクリスマス小説といえば、イギリスの国民的作家チャールズ・ディケンズによる『クリスマス・キャロル』をあげる人も多いのではないでしょうか。
守銭奴のスクルージが、3人の幽霊と共に過去・現在・未来の旅を通して改心する物語です。
1843年の発表以来、子ども向けの絵本もたくさん出版されている伝統的なおすすめ小説といえるでしょう。
子ども向けのクリスマス小説『飛ぶ教室』
ドイツの高等中学、ギムナジウムを舞台にしたクリスマス小説『飛ぶ教室』は、1933年に書かれた少年少女向けの人気クリスマス小説です。
作者のケストナーは国民的人気作家でしたが、ナチス時代にその作品を焚書に処されたことがあります。
クリスマス休暇直前のギムナジウムにいるさまざまな生徒たちの背景や他校生との軋轢など、いくつものエピソードが語られる小説は、小学生から大人までが楽しめるおすすめの作品です。
クリスマスの田舎町が舞台の『にぎやかな眠り』
大人のクリスマスには、コージー・ミステリーが似合います。暖かい部屋の中でブランケットに包まれながら読みたくなるようなおすすめの1冊が、こちら。
『にぎやかな眠り』は、人気の「ピーター・シャンディ教授」シリーズの第1弾です。
田舎町が活気づくクリスマスにうんざりしていた大学教授シャンディが主人公。海外のコージー・ミステリーを代表するような同シリーズは、全10巻出ています。
クリスマス間近の実験的小説『最後の1分 』
『最後の1分』は、クリスマスの準備が進むイギリスのある町を舞台にした大人におすすめの小説です。
午前9時21分には、すべてが通常通りに進んでいたのに、たった1分後の9時22分には爆発音が響き、ガス漏れや飛行機事故、テロといった情報が錯そうします。
連続爆発事件です。多くの人が死に、多くの人が悲劇が起こる直前の1分間を、作者は1秒ごとに描き出します。
恐怖や心配だけでなく、残酷さや優しさ、そして愛がある1分です。
クリスマスの泣ける小説『13番目の贈りもの』
最愛の夫であり父が、突然この世を去る。
残されたのは、悲しみに打ちひしがれる妻、行き場のない怒りを抱える高校生の長男、悪夢にうなされゲームに没頭していく次男、そして末っ子の娘。
大きな喪失を抱える家族に届いたのは、1鉢のポインセチアでした。
それからクリスマスまでの12日間、1日1つ届くプレゼントが家族を再生させていきます。『13番目の贈りもの』は実話に基づいたハートウォームな人気小説です。
心温まる『雪の夜は小さなホテルで謎解きを』
『雪の夜は小さなホテルで謎解きを』は、12歳のマイロが主人公の人気小説です。
両親が営む丘の上の小さなホテルに、奇妙なお客がクリスマス前にやってきます。
マイロは、お客の落とした海図を拾ったことをきっかけに、彼らの目的を探ることに。
雪に閉ざされたホテルを舞台に、謎が少しずつ解き明かされていきます。子ども向けのファンタジー要素もあるクリスマスのおすすめ小説です。
コージー・ミステリー『クリスマスも営業中?』
1年中クリスマスの「クリスマスタウン」を舞台にした、ハートウォームな人気ミステリーシリーズの第一弾が『クリスマスも営業中?』です。
クリスマスタウンに有名旅行誌の記者が取材にやってくるのですが、何者かに殺されてしまいます。
事件のせいで観光客が激変してしまったクリスマスタウンを救うべく立ち上がった主人公はメリー。
その父はサンタそっくりという設定も楽しい、大人におすすめの人気小説です。
怖い短編小説『ミステリアス・クリスマス』
ホラー系の小説がお好きな人には、7つの短編小説が収録されている『ミステリアス・クリスマス』がおすすめです。
イギリスにはクリスマスにゴーストストーリーを語るという習慣があります。7人の人気作家の作品をまとめたアンソロジーは、そんな習慣にもぴったり。
クリスマスの聖夜だからこそ、大人は奇妙で恐ろしい小説を楽しんでみませんか。
俳優によるクリスマス小説『変わったタイプ』
名俳優であるトム・ハンクスによる短編集『変わったタイプ』にも、西部戦線からの帰還兵のクリスマスをテーマにした作品があります。
トム・ハンクスは、手動タイプライターのコレクターとしても有名です。
実際に毎日のようにタイプライターを使い、使用体験がシュミレーションできるアプリも開発したほど。
こちらの短編集も、自身のタイプライターコレクションに触発されて書かれたそうです。
さらりと読めてシュールな『カールの降誕祭』
新進気鋭の人気版画家の作品があしらわれた装丁が目を惹く『カールの降誕祭(クリスマス)』には、3編の小説が収録されています。
どれも短い作品なので、さらっと読めてしまうでしょう。その代わり、読後感はかなりシュール。大人向けと言えるでしょう。
表題作は、クリスマス帰省中に、1000年続いている貴族の家系の息子が起こした惨劇がテーマです。
家族の在り方を考えるクリスマス小説『声』
『声』は日本語訳が出ていないものも含めると15冊出ているエーレンデュル捜査官シリーズの1冊。全体の5冊目で、日本語訳では3冊目にあたります。
時はクリスマスシーズン。舞台はレイキャヴィクのホテルの地下室。元ドアマンがサンタの扮装姿で殺されています。
自分自身も言えない傷を抱えているエーレンデュル捜査官が、被害者の過去に触れていく大人にこそおすすめの小説です。
クリスマスがテーマの小説《日本》
日本を代表する作家の『羊男のクリスマス』
続いては、日本の作家によるクリスマス小説をおすすめしていきましょう。まずは、タイトルにも「クリスマス」が入っている『羊男のクリスマス』。
日本を代表する作家である村上春樹と人気イラストレーター佐々木マキがコラボレートした大人の絵本です。
村上作品の人気キャラクターも登場するファンタジックなクリスマス小説になっています。
男子高校生の青春を描く『ネバーランド』
田舎町にある進学校である私立男子校の寮を舞台に、クリスマスイブに始まったゲームの中で語られる少年たちのトラウマが描かれる『ネバーランド(恩田陸)』もおすすめです。
わずか7日間の物語ですが、大人が読むと思春期特有の甘酸っぱい気持ちがよみがえってくるのではないでしょうか。
もちろん中高生にもおすすめできる人気小説です。ドラマ化もされています。
京都の学生のクリスマスを描く『太陽の塔』
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第15回日本ファンタジーノベル大賞受賞作である『太陽の塔(森見登美彦)』は、ふられた元恋人を「観察と研究」と言いながら追いかけまわすストーリー。
大真面目な主人公は、大長編のレポートを書き上げたり空想と妄想を繰り広げたりと、恥ずかしい青春真っただ中にいます。
そうこうしているうちに、時はクリスマスへ。打倒クリスマスとして浮上するのは、江戸時代に勃発したええじゃないか騒動でした。人気作家の処女作です!
大人の恋愛小説『すべて真夜中の恋人たち』
続いておすすめする『すべて真夜中の恋人たち(川上未映子)』の主人公・入江冬子は、クリスマスイブが誕生日です。彼女は校閲という仕事をしています。
ストーリーはクリスマスが中心というわけではありませんが、作中で語られる冬子の25歳の誕生日のエピソードが印象深い小説です。
大人の恋愛小説として、ファンも多くいます。
優しい嘘が描かれる『私がいないクリスマス』
現代版クリスマス・キャロルとも称される『私がいないクリスマス(加藤元)』は、病気をテーマにした作品ですがユーモアもたっぷり詰め込まれています。
30歳の独身女性が不意に宣告される進行癌の手術中に、子ども時代を振り返ります。毎年クリスマスには家にいなかった父。
その父の嘘、母の嘘、元カレの嘘、幼馴染の秘密などが明かされます。大人になったからこそわかる優しい嘘が描かれた小説です。
クリスマスの祝福を感じる『キャロリング』
続いておすすめするクリスマス小説は、「クリスマス倒産」が決まった子供服メーカーが運営している学童に、最後の日まで在籍する少年とリストラされる社員の物語『キャロリング(有川浩)』です。
あらすじだけを聞くと悲惨な雰囲気があるかもしれませんが、当代きっての人気シリーズを幾つも手掛ける作家の作品は、チャーミングなクリスマスの奇跡に満ちています。
大人も子どももいろいろな思いを抱えているのです!
映画化された小説『サイレント・トーキョー』
『サイレント・トーキョー(秦建日子)』は、脚本家であり劇作家であり、映画監督でもある作者による大人向けの長編小説です。
単行本では『And so this is Xmas(アンド ソー ディス イズ クリスマス)』というタイトルでしたが、文庫化の際にタイトルが変更されたそう。
クリスマスの東京を舞台にした連続爆発テロ事件を描くクライムサスペンス小説です。2020年には実写映画化もされました。
クリスマス短編小説集『X’mas Stories』
人気作家たちのクリスマス小説を集めたアンソロジー『X’mas Stories(クリスマスストーリーズ): 一年でいちばん奇跡が起きる日』もおすすめです。
朝井リョウ、あさのあつこ、伊坂幸太郎、恩田陸、白河三兎、三浦しをんの6名が、それぞれ腕を振るうクリスマスの奇跡が楽しめます。
恋愛系の話だけでないクリスマスストーリーを楽しみたい人にもおすすめです。
四世代の物語『同潤会代官山アパートメント』
大正から昭和にかけて建設された鉄筋コンクリート住宅の同潤会アパートメント。
その1室を舞台に、70年間にわたる四世代の家族の物語が紡がれている『同潤会代官山アパートメント(三上延)』も、大人におすすめのクリスマス小説です。
第二次世界大戦直前のクリスマスをテーマにしている「恵みの露1937」は必読です。
クリスマスの殺害計画を描く『素敵な日本人』
当代きっての人気作家の1人が手掛けた短編小説集『素敵な日本人(東野圭吾)』にも、クリスマスをテーマにした作品が収録されています。
「クリスマスミステリ」というタイトルです。有名俳優がクリスマスの日に女流脚本家の殺害計画を立てています。
方法は、毒殺。使用するのは、脚本家が持っていると明かしたマンドラゴラの毒です。すれ違う二人の心と思惑通りにいかない殺害が描かれます。
クリスマスの奇跡を描く『星をつなぐ手』
『星をつなぐ手』は、2017年の本屋大賞5位になった『桜風堂ものがたり』の続編です。
地方の田舎の書店を託された月原一整の奮闘と、書店を愛する人々の思いが、クリスマスをイメージさせられる冬の「星まつり」の日に奇跡を起こします。
本好き、書店好きの人々のハートをがっちりとつかんだ感動の1冊としてもおすすめです。
クリスマスにおすすめの人気小説を読もう
クリスマスをテーマにした人気の小説を紹介しました。冒頭に書いたように、日本と海外ではクリスマスの捉え方や意味合いに違いはありますが、おすすめの小説はどれも面白く興味深いストーリーであることは間違いなしです。
クリスマスをテーマにしたハッピーエンドの恋愛小説で幸せ気分に浸るも良し、ドキドキハラハラのミステリー小説を堪能するも良し。豊かな読書タイムをお過ごしくださいね。プレゼントにもおすすめです。
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