月に関する美しい言葉《季語・俳句・古語》
ここでは月に関する美しい季語・俳句・古語をピックアップ。日本は古くから太陰暦を採用し、月と共に季節を過ごしてきました。そのため俳句や短歌で用いられる言葉にも、月に関連した綺麗な日本語がたくさん使われています。
梅雨の合間に珍しく見える月「梅雨の月」、暑さの中でも月の涼しげな様子を表した「月涼し」なども季語として有名。今回は月にまつわる季節ごとの美しい言葉と俳句を一覧でご紹介します。
月にまつわる春の季語・古語
- 春月(しゅんげつ)
- 朧月(おぼろづき)
- 春満月(はるまんげつ)
- 淡月(たんげつ)
春の俳句
- 「月侍や 梅かたげ行く 小山伏」(松尾芭蕉)
- 「菜の花や 月は東に 日は西に」(与謝蕪村)
- 「梅が香に 障子ひらけば 月夜かな」(小林一茶)
- 「春の月 簾の外に かかりけり」(正岡子規)
月にまつわる夏の季語・古語
- 月涼し(つきすずし)
- 梅雨月(つゆづき)
- 月の出(つきので)
- 夏の霜(なつのしも)
夏の俳句
- 「涼しさや ほの三日月の 羽黒山」(松尾芭蕉)
- 「河童の恋する宿や 夏の月」(与謝蕪村)
- 「麦つくや 大道中の 大月夜」(小林一茶)
- 「月赤し 雨乞踊 見に行かん」(正岡子規)
月にまつわる秋の季語・古語
- 朝月日(あさつきひ)
- 月光(げっこう)
- 宵月(よいづき)
- 雨月(うげつ)
秋の俳句
- 「十六夜の 月を見はやせ 残る菊」(松尾芭蕉)
- 「月見れば 涙に砕く 千々の玉」(与謝蕪村)
- 「名月を とってくれろと 泣く子かな」(小林一茶)
- 「名月や 叩かば散らん 萩の門」(正岡子規)
月にまつわる冬の季語・古語
- 寒月(かんげつ)
- 月氷る(つきこおる)
- 月天心(つきてんしん)
- 冬三日月(ふゆみかづき)
冬の俳句
- 「月雪と のさばりけらし としの昏」(松尾芭蕉)
- 「寒月や 鋸岩の あからさま」(与謝蕪村)
- 「けしからぬ 月夜となりし みぞれかな」(小林一茶)
- 「月影や 外は十夜の 人通り」(正岡子規)
季節をあらわす言葉や俳句には、美しい情景をイメージさせるような漢字や表現がたくさんあります。ぜひ、いろいろと探してみてください。
春の季節を表す「おぼろ月」
「おぼろ月」とは、霧や靄をまとったかすんで見える月の状態。「朧月」とも書き、春の季節をあらわす美しい言葉です。寒暖差が大きく靄が発生しやすい春ならではの光景は、ゆったりとしたゆるやかな時間をイメージさせます。
綺麗なやわらかい月光を連想するこの大和言葉は、俳句や短歌だけでなく小説などにも多く登場。美しい「おぼろ月」を眺めて季節を感じてみてくださいね。
実は月の出と関係している言葉「宵闇」
「宵闇(よいやみ)」とは、「夜の暗い状態」と「(月の出が遅くなる時期に)月が出るまでの暗い様子やその時間帯」の2つの意味を持つ美しい日本語。
沈んだ太陽のほの明るさは残りつつ、月は出ておらず暗闇が迫る夜空のイメージです。「月がまだ出ていない時間帯」という意味ではあまり知られていないため、ちょっとしたマメ知識としても◎。月の出が徐々に遅くなる8月終わり〜10月頃に使われます。
空を海に見立てた「月の船」
「月の船」とは、美しい夜空を海に、月を船に例えて表現した様子。月が東から昇って西へと沈んでいく夜空の動きを、船が海に漕ぎ出すさまに連想させた言葉です。
この場合の月は、満月ではなく弓型になっている月を指します。確かに三日月などはボートの形をイメージさせますよね。響きの綺麗な大和言葉なので、短歌や俳句が好きな人へのお手紙やメッセージなどに使いたいおしゃれな言い方です。
月に関する美しい言葉《満月》
ここでは満月に関する美しい言葉をご紹介します。十五夜など秋をイメージさせる美しい満月は、それにまつわる大和言葉もたくさん。海外では各月ごとに別名をもち、例えば5月なら「フラワームーン」、11月なら「ビーバームーン」などと表現されます。
日本で満月といえばウサギをイメージする人も多いと思いますが、海外ではロバやカニのイメージを持つ国もあるのだとか。満月に関する美しい日本語をさっそく見ていきましょう。
欠けることのない美しい月「望月」
「望月」とは満月の別名。「もちづき」や「ぼうげつ」と読みます。日本の古語で万葉集にも登場することから、奈良時代に使われていた日本語のようです。
平安時代に藤原道長が「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」という有名な句を読んでいます。美しい満月を待ち望む気持ちをイメージさせる、綺麗な大和言葉です。
空いっぱいの綺麗な月を表現する「天満月」
「天満月」は「空いっぱいに光輝く月」という意味の日本語。こちらも満月の別名で「あまみつつき」と読みます。晴れた夜に大きく綺麗な満月が浮かんでいるようなイメージ。謡曲に使われるなど古くからある日本語で、お菓子や日本酒の名としても親しまれてきました。
電気がない時代、美しい満月の光は人々にとってことさらに明るく感じたことでしょう。いつもより満月が大きく感じられる夜は、灯りを消して「天満月」を見て過ごすのもロマンチックですね。
奥ゆかしく美しい表現「十六夜月」
「十六夜月(いざよいつき)」は、陰暦で言う16日目の夜の月のことです。「いざよい」という単語には「ためらい」という意味が。満月よりも月の出が少し遅くなる様子から、月がためらっているイメージを表現しています。
十五夜と並び、秋の季語としても使われる言葉。月の満ち欠けにはズレが発生することもあるので、満月である場合もあります。日本語らしい、奥ゆかしくて美しい表現ですね。
月に関する美しい言葉《新月》
ここでは新月に関する美しい日本語を集めました。新月とは、見えない状態の月のこと。地球から見た月と太陽が同じ方向になるとき、太陽の光が届かなくなり、地球上の私たちからは月の姿が見えなくなるためです。
月が見えない状態を過ぎたころの、細く見える三日月のことを指す場合もあるのだとか。新月にちなんだ美しい言葉を3つご紹介します。
新月の瞬間の綺麗な別名「朔」
新月の別名「朔(さく)」は、月が満ち欠けして新月の状態に戻っていくことに由来しています。逆戻りを意味する「屰」と「月」を組み合わせた漢字から連想されるものです。
この言葉は、新月のまったく月の見えない状態の意味に相当します。太陰暦では朔の状態が月の始まりに当たるので、「朔日」や「朔」をついたちと読むことも。
メールや手紙など、文章で月の始めを表現する時に使うとおしゃれなイメージになります。
新月から変化していく月「盈月」
「盈月(えいげつ)」は、新月から満月へと丸く月が変化していく様子を意味する日本語。逆に満月から新月へと月が欠けていくのは「虧月(きげつ)」と言います。日常生活ではあまり聞き慣れない、日本語の古語ではないでしょうか。
「盈」という漢字には「満ちる・満たす・いっぱいになる」という意味が。それを「月」と組み合わせ、月の変化を表現しているようです。日本語の持つおもしろさを感じられる単語ですね。
明け方に残る月を表現する美しい言葉「暁月」
夜明け頃の空に残っている月を意味する「暁月(あかつきづき、ぎょうげつ)」。「暁月夜(あかつきづくよ)」とも言います。下弦の月(半月)の状態から新月の手前の細い月が、明け方に残っているような状態を表現。なんだか幻想的で、美しいけれど少し寂しいような、そんなイメージです。
ニュアンスは少し違うものの「有明けの月」や「残月」など、この時間帯の月を表現する言葉はいくつかあります。どれも明け方のぼんやりとした空を連想させますね。
月に関する美しい言葉《英語》
ここでは月にまつわる美しい英語の表現を集めました。美しい月の様子を表す言葉やさまざまな月の呼び名など、海外にも月を使った言葉はたくさん。
今回はその中でも『moon』という言葉を使った美しい英語の慣用句を3つご紹介します。日常会話でさらっと使いこなしたい、おしゃれなイメージのものばかり。簡単な単語を使っているのでぜひ覚えてみてくださいね。
めったにない
Once in a blue moon
めったにない
『Once in a blue moon』とは、めったにない状態を意味する英語の慣用句。『blue moon』には諸説あり、「空気中の塵などにより青く見える月」「まれに起こる1ヶ月に2度満月が出る現象」などの意味が一般的。どちらもほとんど見られないため、「めったに〜ない」と否定的なニュアンスのフレーズで使われます。
『I go there once in a blue moon.(そこにはめったに行かない。)』や「自炊している?」という問いに対して『Once in a blue moon.(めったにしないな。)』のように使ってみてください。
困難に立ち向かう
shoot for the moon.
最高峰を目指す
『shoot for the moon.』とは「最高峰を目指す・困難に立ち向かう」という意味の英語の慣用句。直訳すると「月を撃つ」という意味ですが、実際には月を撃つことなど不可能なためこのような意味で使われています。
少しレベルの高いことに挑戦するというよりも「ほとんど実現できないだろうことにあえて挑む」といったイメージ。日本語の「大志を抱く」のような意味合いでも使えます。単語はどれも簡単ながらかっこいい言い方なので、覚えてみてくださいね!
すごくすごく大好き
I love you to the moon and back.
すごくすごく愛しています。
『I love you to the moon and back.』とは「あなたのことをすごくすごく愛しています。」という意味のフレーズ。日本語で考えると「月へ行って帰ってくる距離ほどにすごくたくさん」というイメージの比喩言葉です。
恋愛の相手や夫婦などはもちろん、親から子供へかける言葉としても使われるこのフレーズ。『I love you so much.』もよいですが、よりロマンチックで愛情の深さを感じられる素敵な表現です。口にしやすい単語が並んでいるので、恥ずかしがらずに使ってみてくださいね!
月にまつわる美しい言葉を活用しよう
今回は月についての美しい言葉や表現を特集しました。「満月」や「新月」にもさまざまな別名があり、美しい月を連想させるいろいろな表現の言葉が登場しましたね。
月に関する言葉には、その響きからも夜空をイメージできる美しい大和言葉がたくさん。普段は耳にしない古語の中には、日本語の深い意味が込められた言葉がいろいろあります。
ときには夜空に思いを馳せて、美しい日本語を堪能してみてはいかがでしょうか。
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