百人一首の恋愛の歌をご紹介!
百人一首と聞いてどんなイメージが浮かびますか?
最近は『ちはやふる』や『から紅の恋歌』など百人一首がテーマの映画が流行りましたが、古文は苦手だしどんな歌があるのかよくわからないという人は多いですよね。
昔の人たちも、私たちと同じように恋愛をして幸せを感じたり、切なくなったりしていました。百人一首には、皆さんも共感できるような恋愛の歌が多くあります。
今回は、そんな恋愛の歌を意味を解説しながら一覧にしてご紹介します。
百人一首に恋愛の歌が多い理由
百人一首とは100人の歌人の和歌を一人一首ずつ集めて作られたものです。その百人一首には43首もの恋の歌「恋歌」があります。
当時は好きな人に会うことや気持ちを伝えることが簡単ではなかったため、好きな人に和歌を贈る習慣がありました。
和歌=ラブレターだったのですね。そう考えると和歌を百人一首に恋歌が多いのも納得がいきますね。
和歌の才能に優れ、美文字で贈り方のセンスも抜群なことがモテる人の必須条件だったそうです。
百人一首の恋愛の歌《幸せ》
ここからは、百人一首に43首ある恋歌の中から読むと思わず幸せになれるものをご紹介します。
百人一首のおすすめ人気恋歌①
「つくばねのみねより落つるみなの川恋ぞつもりて淵となりぬる」
筑波山の山頂から流れ始める みなの川が、
最初は細い流れからやがて深い淵になるように、
私の恋心もだんだんつのって淵のように深くなりました。
出典:https://itukasan.hateblo.jp/
みなの川は(男女川)と書きます。男体山、女体山から流れる川で後に桜川に合流します。
初めは小さかった恋心がだんだん大きくなっていく、その様子を川に例えているんですね。
恋する気持ちをストレートに伝えていて幸せな気持ちになります。
百人一首のおすすめ人気恋歌②
「難波潟短きあしのふしの間も遭はでこの世を過ぐしてよとや」
難波潟の芦の、その短い節と節の間の様な、ほんのわずかな間も逢わないまま、私にこの世を終えてしまえと、あなたは言うのでしょうか。
出典:https://evrica.me/
あしとはイネ科の植物で、短い節がたくさんあります。
作者は伊勢というモテモテな女性だったようです。
あしの節のように短い時間でいいから、とにかくあなたに会いたい!という意味の歌で、気軽に会うことが難しい時代だったからこそ、そんな思いが強かったのかもしれません。
百人一首のおすすめ人気恋歌③
「あさぢふの小野の篠原しのぶれどあまりてなどか人の恋しき」
浅茅の生えている小野の篠原、その『しの』のように耐えて忍んできたけれど(もう耐え切れない気持ちになり)、思い余ってしまいどうしてこんなにあなたのことが恋しいのだろうか。
出典:https://www.esdiscovery.jp/
あさぢ(淺茅)とは背の低い堤防などで見かける植物です。
これは男性が思いを寄せる女性に向けて作ったもので、隠していても隠し切れないあふれだす恋心を詠まれています。
百人一首のおすすめ人気恋歌④
「忍ぶれど色に出でにけりわが恋は物や思ふと人の問ふまで」
我慢してきた恋心でしたが、顔に出てしまっていたのだなぁ。ほかの人に「だれか好きな人でもいるの?」と聞かれてしまうくらいに。
出典:https://kiboriguma.hatenadiary.jp/
こちらは名探偵コナンの映画『から紅の恋歌』で使われていることから、有名になった歌です。
「あの人のこと、好きなんでしょ?」と周りから言われてしまうくらい顔にでてしまっていたんですね。
すごく可愛らしくて、幸せな気持ちになります。
百人一首のおすすめ人気恋歌⑤
「みかきもり衛士のたく火の夜はもえ昼は消えつつ物をこそ思へ」
禁中(皇宮)の御門を守る衛士(えじ)のかがり火は、夜は燃えて昼間は消えているように、まるで夜は恋の炎に情熱的に燃えて昼間は物思いにふける、 わたしの恋の苦しみのようだ。
出典:https://evrica.me/
大中臣能宣という男性が読んだ歌です。
夜会っている時は幸せを感じていても、会えない昼間はさみしくてたまらない。そういう気持ちが込められています。
百人一首のおすすめ人気恋歌⑥
「君がため惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひけるかな」
あなたに会うためなら惜しいとは思わなかった私の命ですが、こうしてあなたと会うことができた今は、いつまでも生きていたいと思っています。
出典:https://hyakunin.stardust31.com/
作者の藤原義孝はイケメンで優しい男性だったそう。
逢瀬(男女がひそかに会うこと)を終え、帰ったあとに女性に贈った歌です。
命に対する考えも変わってしまうほどあなたとずっと一緒にいたい。そんな思いをすごく素直に表現しています。
百人一首のおすすめ人気恋歌⑦
「みかの原わきてながるるいづみ川いつ見きとてか恋しかるらむ」
甕の原に湧いて流れる泉川のように、おまえのことが恋しいのはなぜだろう。いつ見染めたという記憶もとくにないのに。
出典:https://hyakuninisshu.com/
男女の出会いの場があまりなかった平安時代、美しい女性がいるという噂を聞いた男性は、どんな人なのかを調べに行きます。
ですが、直接会えるわけではなく美しい着物姿をちらっと見て想像をふくらませていました。
会ったことのない女性に思いを寄せる男性の恋心が描かれています。
百人一首のおすすめ人気恋歌⑧
「瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ」
川瀬の流れが早いので、岩にせき止められた急流が二つにわかれてもまた一つになるように、貴方と別れてもいつかはきっと逢おうと思う。
出典:https://shikinobi.com/
『ちはやふる』などの映画に出てくるこの歌、聞いたことある方が多いのではないでしょうか。
今は離ればなれになっているけど、絶対にまた会おう。離れている時間があるからこそ、久しぶりに会えた時はとても嬉しいですよね。
いま遠距離恋愛をしている方は共感できる歌ですね。
百人一首の恋愛の歌《切ない》
百人一首が作られた時代は、結婚をしても男性が女性の家に通う通い婚が一般的でした。
そのため会えない切なさを詠ったものたくさんあります。それらをいくつかご紹介します。
百人一首のおすすめ人気恋歌⑨
「今はただ思ひたえなむとばかりを人づてならでいふよしもがな」
今となっては、恋愛を禁じられて監視されているいるあなたへの想いをあきらめてしまおうということだけを、人づてにではなく直接逢ってお話しする方法があればいいのだが。
出典:https://plaza.rakuten.co.jp/
この歌の作者は秘密の恋愛をしていましたが、親にバレ、反対されてしまいました。相手の女性が神に仕える巫女だったので恋愛が禁じられていたのです。
せめて「別れよう。」と伝えることだけでも、直接会って言いたかったのですね。
百人一首のおすすめ人気恋歌⑩
「足曳きの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」
夜になると、雄と雌が離れて寝るという山鳥だが、その山鳥の長く垂れ下がった尾のように、こんなにも長い長い夜を、私もまた、(あなたと離れて)ひとり寂しく寝るのだろうか。
出典:https://hyakuninanki.net/
作者である、柿本人麻呂が愛する女性を思いを詠んだと言われています。
山鳥は夜になると、雄と雌が離れて寝る習性があり、その様子と自分自身を重ね合わせているようです。
秋の夜長の歌だと言われています。寒くて長い夜にひと肌が恋しくなることがありますよね。
百人一首のおすすめ人気恋歌⑪
「今来むといひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな」
「今すぐに行きましょう」とあなたがおっしゃったので、(その言葉を信じて) 九月の長い夜を待っていましたが、とうとう有明の月が出る頃を迎えてしまいました。
出典:https://100nin1.info/
男性である素性法師が女性の立場で詠んだ歌です。
有明の月とは夜更けから夜明けに出る月のことを意味します。
待つ側の女性のつらさはいつの時代も同じですね。
百人一首のおすすめ人気恋歌⑫
「有明のつれなく見えし別れより暁ばかり憂きものはなし」
明け方の月が冷ややかに、そっけなく空に残っていたように、あなたが冷たく見えたあの別れ以来、夜明けほどつらく思えるものはありません。
出典:http://www.samac.jp/
この歌の作者である壬生忠見が思いを寄せる女性は、他の人と結婚してしまいました。その時の気持ちを詠んだものです。
女性の元に行ってみると、そっけなく冷たくあしらわれ追い返されてしまい、それからというもの夜明けがつらくなってしまった男性の切ない心情がうかがえます。
百人一首のおすすめ人気恋歌⑬
「忘らるる身をば思はず誓ひてし人の命の惜しくもあるかな」
あなたに忘れられる我が身のことは何ほどのこともありませんが、ただ神にかけて (わたしをいつまでも愛してくださると) 誓ったあなたの命が、はたして神罰を受けはしないかと、借しく思われてなりません。
出典:https://hyakunin.stardust31.com/
作者である右近は恋多き女性でした。
当時藤原敦忠と付き合っていましたが、敦忠が他の女性と浮気をしているのではという噂を聞いて、この歌を贈ったとされています。
裏切られたのにも関わらず、男性が神罰を受けてしまったらどうしようと相手のことを心配する、切ない女性の歌です。
百人一首のおすすめ人気恋歌⑭
「契りきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山波こさじとは」
「あなたは約束しましたよね。お互いに、涙で濡れる袖を何度もしぼりながら。あの末の松山を波が越えることがないように、私たちの仲も変わらないと」
出典:https://www2.nhk.or.jp/
「波越さじ」とは、決して心変わりすることなどないという意味になります。
「ずっと一緒にいよう。」そう約束したのに裏切られてしまった男性の歌です。
百人一首には、待ち続ける女性の切なさを描いたものが多いのですが、この歌は珍しく男性が思い悩んでいる様子が描かれています。
百人一首のおすすめ人気恋歌⑮
「うかりける人の初瀬の山おろしよはげしかれとは祈らぬものを」
私につれないあの人をなびかせてくれるようにと初瀬の観音様にお祈りはしたが、ああ、初瀬の山に吹く冷たい山おろしよ、お前のように冷たくなれとは祈らなかったのに。
出典:http://www.samac.jp/
平安時代、観音様が広く信じられていたようです。
今の時代でも恋愛成就の神社に行ってお祈りすることがありますよね。
好きな人に振り向いてもらえない。そんな切ない片思いの様子が伝わってきます。
百人一首のおすすめ人気恋歌⑯
「夜もすがら物思ふころは明けやらぬ閨のひまさへつれなかりけり」
一晩中、胸のうちでつれない人を思いつづけるころは、「早く朝になってほしい」と思うけれど明けきらずに、恋人だけでなく、なかなか白んでこない寝室の戸のすきままでもが、無情に思われることだ。
出典:https://honda-n2.com/
ここ最近毎晩愛する人を待っていて、夜も眠れない。早く夜が明けてほしいなあ、と願っているのになかなか寝室の隙間から朝日がさしてくれない。寝室の隙間でさえも私に冷たいなぁ。
そんな女性の切ない感情がうかがえます。
百人一首恋愛の歌まとめ
今回は、百人一首に恋愛の歌が多い理由、どんな恋愛の歌があるのかをご紹介してきました。
なんだか難しそうだと思っていた百人一首もこのように意味を理解すれば、すごくおもしろいと思いませんか?
百人一首には、ここでは紹介できなかった恋愛の歌がたくさんあります。この機会にお気に入りの首を見つけてみてはいかがですか?
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