ヘリンボーン張りのワンルームと格子戸の寝室
テーブルコーディネーターとして活躍する菅野有希子さんと、ご主人の石山洸さん。
新築マンションの購入を計画していたところ、一棟まるごとリノベーションの物件と出合い、中古リノベーションへと方向転換。
76㎡をほぼワンルームとして広々と使う大胆な間取りを実現しました。アルミフレームの黒い格子戸は、寝室を切り分けるとともに空間のアクセントにもなっています。
普段はワンルームで開放感を楽しみ、就寝時は格子戸を閉めて個室に
—LDKとベッドスペースが一体となったワンルームですが、透明の格子戸で仕切ることもできるのですね。このプランはどのように導いたのですか?
【菅野さん】細かく仕切られた間取りには魅力を感じず、開放的な空間に住みたいと思っていました。
一方で、テーブルコーディネーターという仕事柄、器や小道具などを数多く所有しており、収納はしっかりとつくりたいという希望も。さらに、自宅で撮影する機会もあるので、コーディネートのために壁も欲しかったのです。
設計者さんから複数のプランを提案してもらい、中には寝室を壁で仕切る案もあったのですが、必要な収納量と壁の量が確保できることがわかったので、もっともオープンな透明の格子戸で仕切るプランを選びました。
この格子戸は透明アクリルとアルミフレームで造作されていて、軽くて開閉も簡単。普段は格子戸を開けておけば、ワンルームとして広々と使えますし、光を遮るものがないので、家全体が明るくキープできるのもいいですね。
内側に遮光カーテンも付けてもらったので、就寝時には格子戸とカーテンを閉めれば個室と同じような環境になります。
—キッチンも、シンクや手元を隠す壁やコンロ前の壁などの立ち上がりもなく、すっきりとオープンな造りですね。
【菅野さん】少しでも壁を立ち上げると圧迫感が出てしまうので。油はねを防止するガラスの壁などもお掃除が大変そう。
キッチンはできるだけシンプルで機能的であることにこだわりました。天板はクォーツストーンで、メンテナンスもとても簡単です。
キッチンの収納は扉を付けて、しっかり隠すことを希望しました。吊り戸棚は、キッチンと通路の両側から開閉できて大容量です。背面の壁にも収納を造作してもらい、家電なども使っていない時はしまえるようになっています。
—玄関の左手には水まわりがありますが、洗面はオープンでタイルの壁やデザイン性の高い洗面器などが選ばれています。
【菅野さん】洗面は意外とよく使う場所で、お客さまが出入りする場面もあるので、見せる空間としてインテリアをつくりました。
棚を足場板でつくり、ミラーも好みのアイテムを選んでいます。その分バスルームは機能性を重視して、予算の掛け方にメリハリをつけました。
リノベを経て、DIYや家具のカスタムも。継続する家づくりが趣味の一つに
—ワンルームの空間全体に広がる、ヘリンボーン張りの床も印象的です。仕上げの素材などは、どのように決めていったのですか?
【菅野さん】WEBなどで好みのインテリアの写真を集めて、設計者さんと相談しながら、ヘリンボーン張りの床や黒い格子戸、キッチンの框戸、真鍮の把手など、理想のイメージを絞り込んでいきました。
まず、床をオーク材のヘリンボーン張りにすることに決めて、壁の色などはペンキの色見本を並べて、床に合いそうなグレイッシュトーンを選びました。
ダイニング側の壁は、一面だけ濃いグレーに。撮影用の背景としても役立っています。全体的に上品でクラシカルな雰囲気のインテリアに仕上がり、とても満足しています。
—家具の雰囲気もクラシカルな空間に合ったものが選ばれていますね。
【菅野さん】アンティークショップなどで、イメージに合うものを探して、少しずつ揃えているところで、リビングのソファはつい先日、届いたばかりです。ヴィンテージ製品のフレームに革やスタッズをあしらうなどして、カスタムしてもらいました。
ヘリンボーン張りの床とスタイルのあるソファとの調和が美しいリビング。ベッドルームを仕切る格子戸を閉じると、雰囲気がガラリと変化。
—リビング側の棚はリンゴ箱を重ねたものですか?
【菅野さん】イメージ通りの棚がみつかっていないので、とりあえずリンゴ箱を使っていますが、意外と馴染んでいるし使いやすくて気に入っています。
ダイニングのチェアを塗装するなどのDIYにもチャレンジしているんです。壁に飾ってあるアートパネルやコラージュなども自作しました。
—作家さんの作品かと思いました。DIYは過去にも経験があったのでしょうか?
【菅野さん】この家に住むまでは苦手意識があって、やったことはありませんでした。
もともとインテリアは大好きだったのですが、以前の家は賃貸で面積も限られていたので、好きな家具を選ぶことにも限界がありました。
この家に住み始めて、ずっとやりたかったことが叶って、今では家づくりが私の趣味の一つになっています。
リノベーションを経験し、好きな家具を一つひとつ吟味して揃えていくうちに、やりたいことやアイデアなども出てくるようになりました。広めのバルコニーがあるので、DIYのちょうど良い作業スペースになっています。
—今後さらに手を加えたいところはありますか?
【菅野さん】もう少し壁を飾ったり、小物や家具など足りないものを加えていきたいですね。
バルコニーに屋外用のテーブルやチェアを置いて、グリーンを飾って、お茶を飲んだりしてくつろぐ場所にしていきたいとも思っています。
リノベーションをした時には決められなかったのですが、壁にもう少し色があってもいいかなとも感じていて、将来的にどこかの面をアクセント的に塗装するかもしれません。
今は、家は住みながら変えていってもいいと実感しています。時間が経過すれば飽きることもありますから、その時は気分に合わせて手を入れていくことを楽しみたいと思います。
新築マンションと変わらない安心感で、理想の間取りや仕上げを叶える
—この物件を選んだ経緯を教えてください。
【菅野さん】そろそろ家を購入しようということになって、最初は新築マンションを探していました。
でも、個室が細かく分かれていたり、内装も好みのものがなく、なんとなく知っていたリノベーションに興味を持ったのです。
あまり知識がなかったのですが、リビタのイベントに参加したことをきっかけに、好きな間取りや仕上げを選べることを知り、夢が広がりました。
それでも、中古マンションを購入することには少し抵抗があったのですが、リビタの一棟まるごとリノベーションの物件は、耐震性や給排水管の状態などもクリアになっていますし、外壁や共用部もリノベーションされているということで、新築と変らない感覚で安心して暮らしていくことができると感じました。
—リノベーションの設計はどんな流れで進みましたか?
【菅野さん】この物件のモデルルームを見学して、好みの空間だったので、設計者はモデルルームと同じアトリエエツコの山田悦子さんにお願いすることにしました。
新築から中古リノベに方向転換したので、何も準備をしておらず、知識もないし、リサーチにも時間がかけられませんでした。
そんな中でも、設計者さんにサポートいただき、プランはもちろん、仕上げや設備、パーツなどの細かいところまで、具体的に提案してもらえたことで、理想的なセレクトを素早く決めていくことができました。
—リビタのサービスを利用してみていかがでしたか?
【菅野さん】物件を購入する段階から、設計者への依頼、リノベーションの設計、施工まで、どんな細かいことでも、コンサルタントの森本さんに気兼ねなく相談できるのがありがたかったです。
物件を見学した時にも、壁をどの程度抜くことができるかなど、詳しく説明があり、プランやデザイン的なことについても、設計者とは異なる角度からさまざまな可能性を提案してくれました。
とても深くコミットして、一緒に家づくりをしてくれているという感覚があり、時間があまり取れないスケジュールの中でも、安心して家づくりを進めることができたと思います。
ご自宅で催されたホームパーティのご様子。お料理やスタイリングは、菅野さんとご友人によるもの(撮影:菅野有希子さん)
間取り、プラン
- <専有面積:76.87㎡
- 間取り:ワンルーム
- 既存建物竣工年:2016年
- リノベーション竣工年:2017年
LDKとベッドスペースが一体となったワンルーム。アイランド型のキッチンの正面に、透明アクリルとアルミフレームの格子戸が設けられており、ベッドスペースを寝室として仕切ることもできる。
ドアがあるのはトイレと浴室のみで、洗面室はLDKと水まわりをつなぐ動線上にあり、回遊性のあるプランとなっている。
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