どんな部屋にしたい?一人暮らしの素敵インテリア:ヨーロピアンレトロ編
これから住むならこんな部屋にしたい!数あるインテリアのスタイルの中から、特に注目しておきたいものを紹介する連載企画。
第8回は、ノスタルジックな雰囲気満載の「ヨーロピアンレトロ」だ。
最新鋭のものではなく、前年代的な懐かしさに目を向けたスタイルは不思議と落ち着いて、いつの世にも心地よい。
今回も「ヨーロピアンレトロ」の特徴やインテリアのポイントなどを紹介していく。
古きを懐かしむレトロ感覚
そもそも「レトロ」とは懐古趣味、つまり古きを懐かしむ心持ちのようなもので、”今”より以前の”いつか”の時代のアイテムや雰囲気を取り入れた、感覚的なスタイルだ。
どんなものや時代に懐かしさを見出すかによってレトロさも変容していくため実に幅広い。
ヨーロピアンなイメージを取り入れたレトロスタイルとしては、イギリスの郊外の家のような素朴さや、森小屋のようなどこかロマンチックな雰囲気のものがよく見られる。
古くから続く生活の習慣を重んじて暮らしを丁寧に紡ぎ出すような、ゆったりしたスタイルだ。
ちなみに、「レトロ」と共に「アンティーク」や「ヴィンテージ」という言葉もよく使われるが、大きな意味ではアンティークは100年以上経過したもの、ヴィンテージは100年以下の年月を経たものを指すことが多い。
レトロな空間とは、アンティークやヴィンテージ、それ以外のアイテムをミックスしながら構成された、見る者に懐かしさや郷愁を呼び起こす雰囲気全体を指しているのだ。
木は使い古された履歴を楽しむ
古材とアイアンの金具でつくられた小棚
まず空間全体をどこか古びた、哀愁あるものにするにはやはり木の風合いがポイントになってくる。
新調されたばかりのまっさらな木のアイテムよりも、使い古されたような色味や質感で揃えるとノスタルジックな雰囲気が醸し出せる。
実際にユーズド品を古道具店などで見つけるのももちろんだが、木は使ううちに飴色や濃色に経年変化していくので、あらかじめそのような仕上げがされているアイテムを選ぶのもひとつの手だ。
傷や凹みがあえて残された古材を入れるとラスティックな質感をプラスできる。
アイアンの錆びっぽい材質もブロカント(古物)のようなアクセントになるのでポイントで入れていくのもおすすめ。
使い込まれた色味だったり傷跡だったり、モノがもつ履歴のようなものが残っているアイテムはレトロな仕上がりに欠かせない。
自分の知らないどこかで使われてきた、過去を辿るような部屋づくりがこのスタイルの醍醐味だ。
静かに色遊びを展開する
ヨーロッパの住宅ではインテリアを色で楽しむことがメジャー。
イギリスの田舎町コッツウォルズでも、はちみつ色の石造りの家に似合う落ち着いたセージグリーンを、壁や扉にあしらうことが定番だ。
自然の素材と馴染むような色を潜ませることで、静かにも遊び心あるレトロ空間が演出できる。
壁などの広い面だけでなく、クッションやラグ、ベッドカバーなどファブリックにもトーンを落とした色選びをすると統一感が出る。
レトロスタイルに合う色味の手本として、ドライフラワーの美しく朽ちていく色味が参考になる。
時の経過でしか生まれない色相はこのスタイルと相性が良い。アイテムとしても、ガーデニング文化が根強いヨーロッパをルーツに感じる空間に仕上がるのでインテリアに取り入れたい。
古びたシャビーな印象がフレンチスタイル(フレンチスタイルの記事はこちら)とよく比較される「ヨーロピアンレトロ」だが、この静かにもインパクトがある色の遊び方が、白を基調とし色味を抑えたフレンチスタイルと異なる点だろう。
小物使いでレトロな仕上げ
並べられたガラス瓶がレトロなキッチンスペース
「ヨーロピアンレトロ」では、小さなものにも魅力を見出す感度が大事だったりする。
生活道具から、決して実用的ではないものまで、細部にもレトロなフォルムや質感を追い求めてみるのがおすすめだ。
例えば、一輪挿しとしても使えるガラス瓶を並べておくだけでも、光の屈折がノスタルジックな印象を与えてくれる。手吹きで生まれた歪みを楽しめるアンティークガラスなどを探して、収集してみるのも面白い。
古めかしさとして切り捨てられていった部分や、グレードアップされていないイビツな部分に愛着を感じるのがこのスタイルのマインド。そうした、物がもつ人間臭さのようなものに惹かれるタイプの人にはぴったりのスタイルだ。
レザートランクや洋書、おもちゃのラッパなどが並ぶ棚
レザートランクや洋書など、ヨーロピアンなアイテムを入れると気分が高まる。
古びたおもちゃや楽器、一見ガラクタに見えるようなものでも、ノスタルジーが掻き立てられるアイテムならば迷わず入れて楽しもう。
実際には使ったことがない異国の古いアイテムに対しても、懐かしさを感じるのがレトロな空間の面白いところ。
逆に言うとその時代や場所で経験していないからこそ、確かに存在したはずなのにどこか遠くて懐かしい、という憧れに似た感傷が湧き上がるのかもしれない。
振り返って見つける、レトロの楽しみ方
「ヨーロピアンレトロ」全体を通して意識させられるのは、自然や植物を観察するような繊細でボタニカルな精神がバックボーンにあるということ。
植物を飾ったり自然素材を取り入れる以外にも、今も愛されている歴史ある文化を再発見してイマジネーションにするのも面白い。
『ピーターラビット』の作者ビアトリクス・ポターの田舎暮らしを参考にしてみたり、古代ギリシャから伝わりヨーロッパで発展したボタニカルアートに目を向けてみたり。
最新のものに囲まれた暮らしは追うめまぐるしさがあるが、レトロな暮らしは振り返って見つけていくスローさがある。
少し立ち止まって、琴線に触れるものを探ってみて欲しい。
そしてアイテム探しでビビッと来る一点ものに出会うためには、できるだけ足を運んで探してみよう。
西荻窪や目黒などアンティークショップが豊富な街に出かけたり、マーケットに行ってみたり、探す過程も思い出にして楽しもう。
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