現代は、内縁や事実婚といった夫婦の形も徐々にオープンなものになってきましたが、事実婚をしているカップルへの周囲の認識は、まだ少し厳しいものがありますよね。
そんな事実婚状態のカップルの間に子供が誕生した場合、一体どのような手続きや注意点があるのでしょうか。
今回は「事実婚で子供ができた時の手続き」や「子供が生まれても事実婚を続けるメリット・デメリット」、「子供ができて事実婚を解消する場合」という情報をご紹介します。
事実婚で子供ができた時の手続き
入籍への対策を行う
事実婚で子供ができた時は「入籍への対策を行う」です。事実婚の形をとった夫婦の間に子供ができた場合、妊娠をきっかけに婚姻届を提出して、入籍をするカップルも少なくありません。
夫婦2人だけなら、事実婚でも十分だと感じていたカップルも、子供が物心ついた時の心理状態や保育園に入園させる時の対策を考えて、事実婚から法律婚になるカップルも少なくありません。
子供の認知届の提出
事実婚で子供ができた時の手続き2つめは「子供の認知届の提出をする」です。事実婚状態の夫婦の間に子供が出生した場合、父親と子供を戸籍上の親子関係にしたいのなら、ぜひ子供を認知させることが重要です。
子供の認知届は、住民票のがある地区の役所に足を運び、父親となる男性に子供の認知届を記入してもらい窓口に提出するだけですので、比較的簡単ですし、子供がまだ出生する前の胎児の時にも認知手続きは可能です。
子供が出生した時の出生届
事実婚で子供ができた時の手続き3つめは「子供の出生時に出生届の提出」です。子供が誕生した時、子供の出生から14日以内に役所へ行き、子供の出生届を提出する必要があります。
出生届は、産後の母親の体調を考慮して代理人でも届け出ることができますし、この時に子供の出生届と同時に子供の認知届を提出するカップルが多いようです。
子供の医療費助成制度や児童手当の申請
事実婚で子供ができた時の手続き4つめは「子供の医療費助成制度や児童手当の申請」です。子供が出生した時は、子供の医療費助成制度の申請と、児童手当の申請を忘れずに行うことがおすすめです。
子供が出生した際に、役所の窓口に足を運び「子供の医療費助成制度と、児童手当をしたい」と申し出ることで、必要なやりとりの案内をしてくれますから、子供が出生した際は速やかな対応をおすすめします。
子供が生まれても事実婚を続けるメリット・デメリット
メリット①健康保険の扶養に入れる
子供が生まれても事実婚を続けるメリット1つめは「健康保険の扶養に入れる」です。事実婚状態の夫婦であっても、どちらか収入の多い方に第3号被保険者として、健康保険に加入できます。
子供はもちろん、父親か母親も扶養として加入できますが、父親の健康保険に加入する際は、事前に子供の認知届の対応を行う必要があるので注意しましょう。
メリット②柔軟な価値観の子育てができる
子供が生まれても事実婚を続けるメリット2つめは「柔軟な価値観の子育てができる」です。子供の出生後も事実婚のままだと、子供に「柔軟な考えを持って社会を見る力」を養わせることができます。
自分の両親が事実婚を選んだことから、世の中にはさまざまな考えや価値観を持ち、それを選択していくことが大切であるのだと、自ら学ばせることになるのです。
メリット③シングルマザーになった時の手柔軟性
子供が生まれても事実婚を続けるメリット3つめは「シングルマザーになった時の柔軟性」です。やむを得ない理由で、相手と事実上の離婚が避けられない時、自分自身の姓や子供の姓の変更などのさまざまな行動が必要となります。
しかし、事実婚状態のまま離婚となると、子供は母親の姓と同じですから、戸籍も住民票も子供と母親の箇所は変更する項目がなく、シングルマザーとなった後に対応に追われることが少ないメリットがあります。
デメリット①認知を行っても親権は母親
子供が生まれても事実婚を続けるデメリット1つめは「認知を行っても親権は母親」です。子供がお腹に居る時や、子供の出生届を提出した時に父親が認知届を役所に提出しても、原則子供の親権は母親のみとなります。
父親に親権を移すのも可能ですが、その他のやりとりが必要となりますし、両親揃って子供の親権を持つことができないことを、しっかりと認識しておきましょう。
デメリット②認知しないと戸籍上の親子と認められない
子供が生まれても事実婚を続けるデメリット2つめは「認知しないと戸籍上の親子と認められない」です。子供が出生した後に、父親が認知届の提出を忘れたままだったり、認知を先延ばしにしていると、いつまで経っても子供と父親は法律上の親子として認められません。
法律上の親子として認められないでいると、戸籍の続柄にも記載されませんし、事実婚から別れるとなった時に養育費を支払う義務も発生しない他、父親が亡くなった時に遺産相続する権利すらなくなってしまうデメリットが生じてしまいます。
デメリット③保育園や小学校の手続時に困る
子供が生まれても事実婚を続けるデメリット3つめは「保育園や小学校の手続時に困る」です。子供の出生後も事実婚状態でいると、子供の姓は母親の姓となり、父親とは異なる姓を持つことになります。
この時に、保育園や小学校関係者から不信に思われたり、子供間でなぜ父親と苗字が違うのかというシビアなを指摘されてしまったりと、思いもよらないトラブルが発生する可能性が高くなってしまうのです。
子供ができて事実婚を解消する場合
入籍の意思が芽生えた
子供ができて事実婚を解消する場合1つめは「入籍の意思が芽生えた」です。事実婚をしていたカップルが、妊娠の発覚後に法律婚に切り替えることも珍しくはありません。
子供が出生した後には、やっぱり父親と法律的にも親子にさせたいし、父親と同じ姓を名乗らせたいという気持ちの変化があることで、子供の出生をきっかけに事実婚の解消としたのです。
養子なのかと誤解を受けることを考えた
子供ができて事実婚を解消する場合2つめは「養子なのかと誤解を受けることを考えた」です。事実婚の夫婦の形に満足をしていても、子供の出生がきっかけで、どうしても親は子供を主体に物事を考えるものです。
子供がある程度成長した時のことを考えた時に、例えば父親との姓の違いから、周囲の人達に「養子なのか」と誤解されるのではないか、そうなった時に子供がかわいそうなのではないか、と周囲の誤解を懸念して事実婚の解消に踏み切るカップルもいるのです。
事実婚でいることを周囲に批判された
子供ができて事実婚を解消する場合3つめは「事実婚でいることを周囲に批判された」です。この理由で事実婚をやめるカップルは多く、とくに自分の両親や親戚から、事実婚を止め、きちんと入籍するようにと促されることがほとんどです。
夫婦2人だけの時には事実婚でいることに大きな理解を示してくれた両親や親戚も、事実婚カップルに子供が誕生すると、子供の将来を案じて事実婚でいることを批判したくなるのです。
離婚がきっかけとなった
子供ができて事実婚を解消する場合4つめは「離婚がきっかけとなった」です。妊娠が発覚した後に、相手との著しい価値観の違いや相手からの裏切りなど、何らかの事情から離婚という形で事実婚を終わりにするカップルも少なくありません。
事実婚は、法律上の夫婦として見なされないため、実際に離婚届を提出して離婚の対応を行う必要はなく、別居状態が発覚した日を境に「事実婚が終わった」と判断します。
妊娠中の浮気が原因
子供ができて事実婚を解消する場合5つめは「妊娠中の浮気が原因」です。事実婚カップルが、妊娠中に相手に浮気をされてしまった時は、法律婚の夫婦と同様に裏切り行為をした相手に慰謝料を請求できます。
事実婚だからといって、相手の浮気による事実婚の結末に泣き寝入りをするのではなく、誕生する子供のためにもきっちりと慰謝料を請求し、子供の認知まで行ってもらいましょう。
子供を認知させなければ、法律上の親子と認められませんので、養育費の請求ができない恐れがあります。
事実婚の両親に感じる子供の心理
なぜ両親は結婚の形をとらなかったのか
事実婚の両親に感じる子供の心理1つめは「なぜ両親は結婚の形をとらなかったのか」です。いくら血が繋がっているとはいえ、両親の考えていることは子供にはわからないでしょう。
なぜ一般的な夫婦のように結婚の形をとるのではなく、事実婚という夫婦のあり方を選んだのか、子供がある程度成長した時に自分達の思いを伝えてみても良いのではないでしょうか。
幼少期は父親と苗字が違いが気になった
事実婚の両親に感じる子供の心理2つめは「幼少期は父親と苗字が違いが気になった」です。子供が保育園や幼稚園、小学校に上がる時に、やはり周囲の子供と自分自身を比べてしまうものです。
「なぜ自分は父親と苗字が違うんだろう」と気になりながら、クラスメイトに質問されても上手く理由を説明することができなかった、と振り返る意見が比較的多い傾向にあります。
自分をかわいそうだと感じたことはない
事実婚の両親に感じる子供の心理3つめは「自分をかわいそうだと感じたことはない」というものです。例え父親と苗字が違っていても、子供の頃のことを振り返ったり、今の現状を考えても「自分は両親に愛されていたし、今も変わらず愛されている」という心理から、とくに自分をかわいそうだと感じたことがないという意見です。
子供にきちんと愛情を伝えていれば、子供なりに状況を理解し、周囲の言葉に惑わされない関係性を築けるのでしょう。
大人になると両親の考えが理解できる
事実婚の両親に感じる子供の心理4つめは「大人になると両親の考えが理解できる」というものです。幼少期から中学生頃までは、両親がなぜ事実婚という形を選んだのかがいまいち理解できなかったけれど、大人になった今なら理解することができるという意見です。
事実婚カップルの元で育った子供は、比較的社会の多様性を感じながら成長する場合が多いので、大人になった時に「世の中にはさまざまな考えがあってもいいのだ」と、考えられるのではないでしょうか。
事実婚のまま子供を育てる時の注意ポイント
法律的に配偶者と認識されないことを理解する
事実婚のまま子供を育てる時の注意ポイント1つめは「法律的に配偶者と認識されないことを理解する」ということです。事実婚は、法律婚での結婚とは異なり、入籍の手続きを行わずに自分達の意思で「自分達は夫婦だ」としていることから、法律的には夫婦と見なされないのです。
ですから、遺産の相続時に控除を受けることができない、アパートやマンションを借りる時に不信感を顕にされてしまうといった問題も起こりうることを理解しておきましょう。
認知をしなければ父親の遺産相続時に困る
事実婚のまま子供を育てる時の注意ポイント2つめは「認知をしなければ父親の遺産相続時に困る」ということです。もしも、父親が子供を自分の子だとして認知をせずにいると、父親が亡くなった時に遺産を相続する権利自体がなくなってしまいます。
認知をしてもらわないと、法律上の親子とは見なされないため、相続権がなくなってしまうということを認識しておきましょう。もちろん遺言による相続はできるのですが、相続税などの税金がかかってしまうので注意が必要です。
子供の認知を拒否された場合は
事実婚のまま子供を育てる時の注意ポイント3つめは「子供の認知を拒否された場合は」ということについてご紹介します。子供を妊娠、出産したにも関わらず、父親が認知をすることを拒否した場合は、裁判によって父親に認知を認めさせることができます。
この場合、ほとんどのケースでDNA検査が必要となり、DNA検査の費用は認知を要求している女性側が負担することになっていますが、認知をしてもらわなければ、養育費や相続権など大きなことに関わってきますので、ぜひ認知をしてもらうことをおすすめします。
浮気や不倫の際に慰謝料・養育費を請求できる
事実婚のまま子供を育てる時の注意ポイント4つめは「浮気や慰謝料・養育費を請求できる」ということをしっかり覚えておきましょう。もしもパートナーと何らかのトラブルにより離婚することになった場合、精神的ダメージを受けた慰謝料や、子供の養育費を請求することができます。
また、パートナーの扶養として健康保険に加入していた場合、事実婚状態にあった期間のパートナーの公的年金も受け取ることができます。この場合、事実婚状態となった日から別居をするまでの期間の年金受取りとなります。
事実婚で子供ができた時の手続き方法を知っておこう!
事実婚で子供ができた時には、多くの事実婚カップルが入籍をして法律婚として結婚という形をとるのですが、やはり事実婚であることに大きなメリットや自分達のポリシーを抱いているカップルは、事実婚状態のまま子供を育てるでしょう。
事実婚という形をとった両親に対して、子供が抱く心理はさまざまですが、大切なのは自分達の思いや愛情をどれだけ子供に注いであげられるかということですよね。
事実婚のまま子供を育てる時の手続きや注意点を把握して、素敵な家庭を築いていってください!
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