豊かな緑とメゾネット
ともにグラフィックデザイナーとして活躍し、会社も経営しているTさんご夫妻。開放的な空間を求め、広めの中古マンションを探した末に辿り着いたのは、RC造3階建てのメゾネットタイプの物件だった。
既存の良さを残し、コンクリート打ちっ放しと黒のスチールで武骨なイメージに。
——コンクリート打ちっ放しの壁と黒のスチールの階段が効いた、スタイリッシュな空間ですね。
【ご主人】階段はもともと白だったのですが、黒に塗装したんです。初めてこの物件を見たときに、無機質なコンクリート打ちっ放しの状態が気に入ったので、それを残しつつ、黒のスチールや木を組み合わせて、武骨な感じで仕上げたらかっこいいだろうなとイメージが浮かびました。住宅よりも店舗のような雰囲気の家をつくりたかったんです。
——その通りの空間に仕上がっていますね。既存の物件も壁は打ちっ放しだったんですか?
【ご主人】そうです。元々の状態はあまり手が入っておらずまるでスケルトンのような感じでした。でもスケルトンからリノベーションをやりたいと思っていたので、一目で気に入り、即決しました。
——RC造の3階建てのテラスハウスという、ちょっと変った物件ですが、どのようにしてこの物件に辿り着いたのでしょうか?
【ご主人】この物件はインターネットを使って、自分たちで見つけました。同時進行でリノベーションを依頼する会社も探していて、物件を見つけた後すぐに、リビタにリノベーションを依頼しました。
【奥さま】広いワンルームのLDKをつくることが希望だったので、90㎡以上の中古マンションを探していたのですが、エリアを世田谷や目黒に限定していたため、予算内でそういった物件には出会えませんでした。中古の一戸建ても見たのですが、小さい家が多かったです。その中でメゾネットタイプのこの物件を見つけ、1階から3階まで各フロアを、ワンルーム的に使えることに魅力を感じました。
——既存物件の間取りや水まわりの配置などは、そのまま流用されている部分が多いですね。
【奥さま】給排水管の都合などから、水まわりの位置などはできるだけ変更せずに、活かしていく方向にしました。キッチンはもともと壁に面していたのですが、対面を希望していたので、そこは変更してもらいました。
【ご主人】バスルームは広くしたかったのですが、構造的な問題で難しいということでした。しかし、バスルームから見える坪庭のような空間をつくることで、視線が抜けて、開放感と体感的な広さを感じられる場所になりました。
フロアを上がるごとにオンからオフへ気持ちが切り替わるメゾネット。
——フロアは区切られていますが、螺旋階段で各階がゆるやかにつながっているので、立体的にワンルーム状に連続しているような居心地も感じますね。
【奥さま】そうですね。各階ともに完全な個室にしているわけではないので、開放的な雰囲気を感じますね。でもメゾネットは、上下階の移動で、気分が切り替わるというメリットもありますね。家から帰ってきて2階のLDKまで上がってくると、とてもホッとします。3階はもっとプライベートな居心地で、ワンフロア上がることに、気持ちがオンからオフへ切り替わっていく感じがします。
——1階の玄関のあたりやワークスペースは、どんな居心地ですか?
【奥さま】オンとオフの中間くらいの感じです。私は仕事を家に持ち帰って、子どもが寝た後に作業をすることが多いのですが、そのときは落ち着いた気分で、集中できます。
【ご主人】私は家に帰ってくる時間が夜遅くなることが多いのですが、フロアが分かれているから、子どもが寝ているところを起こさなくて済むのが良かった。帰ってきてからも2階のLDKで、一人でくつろいで過ごすことができます。
【奥さま】実は当初、1階は寝室で、3階はワークスペースがいいと思っていたのですが、設計者の山田悦子さんが、1階をワークスペースにすることを提案してくれました。結果的に、3階を寝室にしたことで、落ち着いた居心地になりましたし、1階は仕事に集中できる空間となって、私たちの暮らしにフィットした家になりました。
【ご主人】3階は将来的には、子ども室にすることも想定しています。クローゼットの部分も含めて、壁をつくりなおして個室をつくることも考えています。今は家族みんなで眠る寝室として、広く使いたいと思っています。
——1階にはレコードが収納されている棚とDJブースもありますね。
【ご主人】既存の棚がぴったりだったので、位置だけ壁側に移動して、流用しました。現在は2500枚ほどのレコードが棚に収まっています。DJブースも自分で図面を描いて、造作してもらったのですが、今は子どもが小さいこともあり、あまり使っていません。今後は1階を趣味の部屋として、もっと活用していければと思っています。
スチールフレームのガラスの間仕切り、アクセントの木の壁など、明確なイメージを形に。
——仕上げのイメージは、「スチールや木を使って武骨に、店舗のような雰囲気に」とのことでしたが、実際に使う材料はどのように決めていったのですか?
【ご主人】好きなイメージの写真などを集めて、山田さんにお伝えしておき、それぞれの場所ごとに、いくつかのサンプルを提案してもらい、その中から選びました。
【奥さま】キッチンと洗面室は、木を希望していたのですが、最終的には使い勝手を優先し、木目調のメラミンの面材を選びました。ほとんど見た目は木と変りませんし、水に濡れることを気にしなくていいから、良かったと思っています。
——1階のスチールフレームのガラスの間仕切りが、とくに印象的です。これも最初からイメージしていたのですか?
【ご主人】ワークスペースはこんな感じにしたいと、以前から考えていました。玄関と階段のスペースとは、一区切りつけたいと思っていたのですが、完全に個室にすると暗く、閉塞的になるので、ガラスにして光と抜けをキープしたいと思ったのです。
【奥さま】ガラスだと落ち着かないかなと思っていたのですが、まったく気になりません。広く感じるし、空調効率もよくなるので、機能的にも優れています。
【ご主人】2階のテレビボード側の壁は、途中まで塗装で、上の部分に木を張ってもらったのですが、これも最初からイメージがあって、リクエストしました。フローリングと同じ、オークの無垢材が張られています。
——間接照明も効いているし、空間の良いアクセントになっていますね。コンクリートと木、黒のスチールで構成された空間に、植物がすごくマッチしています。室内やバルコニーに、たくさんの植物がありますが、これは引っ越してきてから、揃えられたものですか?
【ご主人】そうです。ずっと植物を育てたかったのですが、以前の家はバルコニーが狭くてできなかったので、念願叶ってという感じでどんどん増えています。欲しい植物が見つかったら、それに合う鉢を探して、コーディネイトして楽しんでいます。毎朝起きてすぐに、植物に水やりをするのがとても楽しい。一日の良いスタートを切るための習慣となっていますね。
【奥さま】私も料理をつくるときや片づけのときに、キッチンからテラスの植物を眺めるのが癒しになっています。
メゾネットの暮らしを動画でさらに詳しく見たい方はこちら
STORY’s 「時間も空間も多層(レイヤー)に。メゾネットのレイヤードな暮らし。」
http://story-s.com/experience/experience_002.html
間取り、プラン
- 専有面積: 114.92㎡
- 間取り: 2LDK+WIC
- 既存建物竣工年: 2006年
- リノベーション竣工年: 2012年
RC造の3階建てのテラスハウス。長い玄関アプローチから続く1階は、玄関ホールとトイレ、ガラスの間仕切りで区切られたワークスペース。ワークスペースは奥さまの仕事場として使っているほか、ご主人のレコードを収納する棚とDJブースもある。2階はLDKと水まわり。3階は寝室とウォークインクローゼットがある。最上階には屋上も。1階から3階までは螺旋階段でつながり、各階にバルコニーもある。
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