マンションをリノベーションで“二世帯住宅”にできる?多世帯で快適に過ごすポイントは?
二世帯住宅と聞くと、頭に浮かぶのは一戸建て住宅でしょう。しかし、立地が良い場所となると、思うような物件はなかなか見つからないかもしれません。そこで気になるのが「マンションでも二世帯住宅にできるのか」という点。
今回は、マンションで二世帯住宅を実現できるのかという点や、マンションリノベーションで二世帯住宅にする際の注意点について解説します。多世帯同居を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
■ “二世帯住宅”間取りスタイルの種類は?
事例を見る:Case142「設計のプロのお宅拝見!」
二世帯住宅と言っても、どの空間を共有するかによって間取りスタイルは分かれます。二世帯住宅の間取りスタイルは、主に3つに分類できます。
● 完全同居型
● 完全分離型
● 部分共有型
では、それぞれの特徴を紹介します。
● 完全同居型
完全同居型は、各世帯・各個人の居室を用意して、後は全て共有するスタイルです。水廻り(キッチン・浴室・トイレ・洗面)はもちろん、玄関やリビングも一箇所にするため、家事時間やリラックス時間も共有します。
ですから、世帯別の時間が取りたいという方にはあまりおすすめできません。しかし、スペースを有効的に活用できるため、リビングダイニングや各居室にスペースを充てられるというメリットがあります。
● 完全分離型
完全分離型は、玄関から水廻り、居室やリビングダイニングなど全ての空間を世帯ごとに分ける間取りスタイルです。
基本的に、共有部分はないため、世帯間でゆったりと時間を共有することはありません。つまり、隣近所に住んでいる感覚と同じと言って良いでしょう。
お互いに万が一の事態が起きた場合、すぐに駆けつけられる適度な距離感を保てます。ただし、全ての空間が世帯数分必要になるため、どうしても各スペースが狭くなってしまう点は否定できません。
● 部分共有型
一部共有型は、その名の通り部分的に空間を共有する間取りスタイルです。お宅によって共有する場所は様々で、ライフスタイルに合わせて玄関や水廻り、リビングなどを二世帯でシェアします。
最低限それぞれで使いたい空間だけ分離するため、完全分離型と完全共有型の“いいところどり”なプランと言えるでしょう。
片方の世帯で使うキッチンをミニキッチンにしたり、浴室・トイレ・洗面を3点ユニットバスにして、サブ的な空間にするのもおすすめです。
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■ マンションリノベーションでは「完全同居型」か「部分共有型」が実現可能!
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マンションの玄関ドアは「共有部」の扱いになるため、区分所有者で変更・追加することは許されません。窓サッシも同様で、窓をドアに変えることはおろか、サッシを入れ替えることもできないのです。
そのため、一部屋のマンションをリノベーションによって「完全分離型」にすることは“不可能”と言って良いでしょう。では、「部分共有型」はどうでしょうか。
部分共有型ですと、共有する空間によっては実現可能です。マンションは、各戸に設置された排水管の位置や種類が決まっています。
洗面・浴室・キッチンなどの排水を流す「雑排水管」、トイレの汚水を流す「汚水管」、バルコニーに溜まった雨水を流す「雨水管」と用途が分けられており、各階でそれらが連結して下に落ちていくため、その取り込み口を移動したり、無闇に追加することはできません。
また、当初一箇所のキッチン用に設けられていた雑排水管の取り込み口に、二箇所のキッチンから流れ出る排水を合流させてしまうと、詰まりや逆流を引き起こし、階下への漏水事故に繋がりかねません。
ですから、マンションリノベーションで水廻り空間を増設することは難しく、元々複数箇所設置されている物件を探す他、確実な方法はないのです。
「部分共有型」にしたい場合には、水廻りではなく、ひとりでリラックス時間を味わえるようにリビングなどを分離することを検討しましょう。また、面積が限られている場合は「完全同居型」での生活をイメージして、リノベーションを検討してください。
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■ マンションで二世帯生活を始めるにはどのくらいの面積が必要?
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では、マンションで二世帯住宅を実現させるためには、どのくらいの面積があれば良いのでしょうか?「完全同居型」と「部分共有型」によって必要な広さは異なりますが、一般的には下記の面積が目安となります。
【完全同居型】100㎡〜
【部分共有型】150㎡〜
ただし、これほどの広い物件を東京などの好立地エリアで見つけることは困難です。目安面積より狭い物件の場合には、「間取り係数」と「どこまで共有するのか」について、ご家族で話し合ってみましょう。
メモ
「間取り係数」とは、建築家・吉田桂二氏が考案した設計の考え方で、最低でも「1.5」なければ間取りとして成り立たないと言われており、ゆとりが欲しければ「1.8〜2」程度の数値が必要です。
【部屋の面積】×【間取り係数】=【必要床面積】
まずは、生活に必要な空間の広さを想定し、そこからどの程度の“間取り係数”になるかを確認しましょう。
間取り係数に余裕がある場合は、数値を下げて必要床面積を減らしてみると、今お住まいの物件でも二世帯住宅の間取りが成立するかもしれません。
また、「部分共有型」の場合はどの空間までシェアするかをシミュレーションして、共有部を減らすことで対応できる可能性もあります。
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■ マンションリノベーションで“二世帯住宅”にする際のポイントや注意点
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では、実際にリノベーションで二世帯住宅にしたい場合には、どのようなポイントや注意点を押さえれば良いのでしょうか?ここでは、主に考えられる7つの項目についてお話していきます。
水廻りを増やすことは難しい
まず、先ほどもお話しした通り、マンションですと配管取り込み口の移動や増設を区分所有者の要望ですることはできません。ですから、キッチン・浴室・トイレ・洗面などの水廻りを増設することは難しいと言って良いでしょう。
「既存の配管に複数箇所の排水を流せばいい」と考える方もいらっしゃいますが、生活排水には油汚れなど詰まりの原因となるものが多く含まれているため、排水管の許容範囲を超えて逆流してしまうリスクも考えられます。
また、そもそも水廻りの増設は多くの管理組合で禁止しているため、無理に施工すれば「管理規約違反」となる可能性も高いでしょう。
ですから、元々複数箇所の水廻りがない限り、リノベーションすることは難しく、「増やせない」と思っておく方が間違いありません。
隣同士の部屋を繋げることはできない
最近は、同じマンション内の隣合った部屋を購入し、それぞれが生活するというスタイルを選ぶ方が増えています。
そのままそれぞれの部屋が独立した状態で住むには問題ありませんが、「二部屋を繋げる」ということは“絶対に”できません。なぜなら、各住戸の間にある壁は「界壁(かいへき)」だから!
メモ
「界壁」とは、防火・遮音に関して建築基準法等の法令で定めた性能基準を満たし、天井裏(床スラブ〜上階床スラブ)まで達していなければいけません。
(参考:建築基準法・第30条「長屋又は共同住宅の各戸の界壁」)
界壁は、建物全体の耐久性にも関わるため、一部でも解体することは通常できません。
厳密には、「構造的に解体しても問題ないことが証明できること」「区分所有者全体の3/4以上から承諾を得た場合」に限り、開口部を開けることはできますが、それを満たすことはかなり困難です。
(参考:国土交通省|改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル)
ですから、ホテルのコネクティングルームなどをイメージしていても、それをマンションリノベーションで叶えることはできません。
狙い目は“メゾネット”物件
事例を見る:Case138「ビールがおいしい大空間」
世帯間の距離をできるだけ離して“プライベート時間”を確保したいという方には、「メゾネット物件」がおすすめです。完全に二層で構成されているものから、部分的に二階建てになっているものもあります。
ただし、メゾネット物件は人気が高い上に中古物件流通量が限られているため、購入したい場合には、不動産会社協力のもと意欲的に物件探しに取り組むことをおすすめします。
ポイント
私たち“SHUKEN Re”では、物件選びからローン相談、リノベーションの設計施工、アフターメンテナンスまでお任せいただける「ワンストップリノベーション」をご用意しています。
また、一戸建て住宅・マンション問わず多彩な施工実績もございますので、是非お気軽にご相談ください。
▶︎ワンストップリノベーションについてはこちらから
ダイニングキッチンは広めにレイアウト
事例を見る:Case64「「ホテルライクな新築風」をあえて、リノベで叶える贅沢」
「各個人の居室を作る」などに意識が向いてしまうと、どうしてもダイニングやリビングが狭くなりがちです。確かに、個人の空間も必要ですが、食事をしたりリラックスしたりするための空間が狭苦しいと、居心地が半減してしまうでしょう。
ですから、お家にいる時間の多い方が住む場合には、リビングダイニングの面積を十分確保する考え方がおすすめです。時には、「個室は寝るためだけの空間」と割り切ることも必要かもしれません。
バリアフリー・ユニバーサルデザインを意識する
二世帯住宅の仕様にする場合は、間取りやデザインだけではなく、家族みんなが使いやすくすることも重要です。段差を極力なくすことはもちろん、誰でも楽に開閉できるようにドアを引き戸にしたり、キッチンや洗面の高さを体型に合わせたりなどの工夫も必要です。
また、トイレや玄関へ手すりを簡単に後付けできるように、壁の下地補強をしておくのもおすすめです。ただし、システムバスの場合は基本的に手すりの後付けはできません。
高齢になるまで住み続けることを想定している場合には、当初から設置しておくことをおすすめします。また、照明をリモコン操作できるようにしておくことは、ユニバーサルデザインという観点からも効果的です。
水廻りを挟むように世帯空間を分ける
世帯同士で生活リズムが逆転している場合などは、寝室をできるだけ離して設置すると良いでしょう。
最近のマンションは、一般的に水廻りを中央付近に配置していることが多いため、その空間を挟んでレイアウトすれば、お互いに家事動線や生活動線が長くなることもなく、適度な距離感を保てます。
ただし、その場合リビングダイニングの配置場所にも気をつけなくてはいけません。よくある細長い間取りのマンションですと、寝室を離して配置することでリビングダイニングが狭くなってしまうこともあります。
ですから、空間に優先順位をつけて設計士とよく話し合いながらプランニングを進めましょう。
多世帯同居の補助金・税控除は使えないことがほとんど
市町村によっては「多世帯同居改修工事」への補助金を設けており、国税庁でも「住宅特定改修特別税額控除」の対象に、多世帯同居改修工事も入れています。
しかし、これら補助事業のほとんどは、キッチンや浴室、洗面室などが2つ以上あることが条件です。
多世帯同居改修工事とは、家屋について行う他の世帯との同居をするのに必要な設備の数を増加させるための増築、改築、修繕または模様替えで、調理室を増設する工事、浴室を増設する工事、便所を増設する工事または玄関を増設する工事を含む増改築等をいいます。
ただし、自己の居住の用に供する部分に調理室、浴室、便所または玄関のうちいずれか2以上の室がそれぞれ複数になる場合に限ります。
(引用:国税庁|No.1224 多世帯同居改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除))
つまり、水廻りを増やせるケースがほとんどないマンションリノベーションにおいて、対象となる可能性は極めて低いということです。
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■ まとめ:マンションリノベーションで“二世帯同居”を叶えたい時は「できないこと」を理解しましょう
「マンションリノベーションで二世帯住宅にしたい」そうお考えの方は少なくないでしょう。しかし、一戸建て住宅と比べると工事の制限が多く、思ったような住まいにできない可能性もあります。
ですから、ご家族でまずは「リノベーションでできないこと」をしっかりと理解し、それを踏まえてプランを検討してください。
具体的に計画を進めたい場合やまず費用を知りたいという場合には、リノベーション会社へ相談してプランを作成してもらうのもおすすめです。
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