大人と少年がまざりあうお部屋
写真家・ライターの大山顕さんに、ちょっとおもしろい撮り方で、無垢床リノベーション「TOMOS」のお部屋と住んでいる人の「平面図」を撮ってもらうシリーズ。
今回は、男性おひとり暮らしのお部屋を訪問。ご職業はお医者さまだという瀬田さん。
私、”お医者さんのお部屋”にご訪問するのは初めてだったのですが、勝手なイメージ(すみません)を覆す、お部屋の雰囲気にびっくり!
でも、お話を聞いた上だと「なるほど、とても瀬田さんらしいお部屋」と思えてしまうのが二度びっくりでした。(編集部)
大人の部屋だ!
今回ほど、部屋と住む人の雰囲気がぴったりだと感じたことはない。「大人の部屋」という風情なのだが、同時に少年のような面白味もある。
なんていうとやや紋切り型だが、部屋の主瀬田さんがまさにそういう方だったのだ。
リビングを見渡した様子。リノベ前は真ん中の梁のところで部屋が分かれていた。広くて明るい部屋。
部屋に入ってまず印象的だったのは、部屋のあちこちに置かれているキャンドルだ。いままで訪れたお部屋でも見かけたことがあったが、それらとはすこし意味が違うと感じた。
なんというか、ライフスタイル宣言としてのキャンドル、というか。テレビの横にあった大きなものは、きけばCandle JUNE(キャンドル・ジュン)作のものだそうだ。広末涼子の旦那さんのあの人だ。
「ほんとうはもっとうまく火を付けると、きれいに溶けていくんですけどねー」と瀬田さん。キャンドルってそういう「うまい/へた」があるのか! 知らなかった。
「Candle JUNEのキャンドルは独特でおもしろいんですよ」と瀬田さん。この一言だけで、ぼくは「瀬田さんって頼もしい人だな」と思った。
以前信頼できる知人が、華道家の假屋崎省吾がいかにすごい作品を作る人かを語ったときのことを思い出した。有名人になるとゴシップの方が目立って、なかなか冷静に評価されないものだ。
キャンドルや華道といったものは、門外漢にとってどこを評価するものなのか分からないだけに、余計にその傾向が強いと思う。ちゃんと見識を持って、すごい人をちゃんとすごいと言えるのは大人だ。
そして少年ぽい
「この本棚いいですね!」って言ったら、買ったお店を教えてくれました。大きな鏡もすてきだ。そしてダンベル!かっこいい。
次にぼくが「おっ」と思ったのはデスクの後ろにある本棚。この使い込まれた感じの木材がいい。
小口以外の面の白く塗られ具合などもすごくいい(こうやって写真で見るとあまりすてきさが伝わっていないかも。これはぼくの撮影技術の問題です。すまん。本物はもっといい雰囲気だったよ)
「いいですよね、これ。お気に入りです」と瀬田さん。他の家具たちにも共通した雰囲気を感じる。こういう色の濃い木材の家具って使うの難しいと思うんだけど、すごくすてきにまとまっている。かっこいい。
もともと家具が好きだという、瀬田さんがここに引っ越してきたのは2か月前。床を見て、家具との組み合わせが良さそうだと気に入って、この部屋に決めたという。
TOMOSの面目躍如だ。本棚は入居後に入手したもので「長いこと棚を探していたんですけど、これを見つけて最後のピースがはまって部屋が完成した、って感じです」とのこと。このこだわりが、ぼくが「少年ぽい」と感じた部分だ。
寝室にもおじゃましました。リビングと同じテイストですっきりとまとめられていた。服を見せて収納することで余計なものを持たなくなるという。わかる!
へんな柄のTシャツがぼくの部屋のクローゼットに眠ってる。
そしてこの壁により掛からせる棚かっこいい!
最後のピースがはまった感じ
実は今回、本連載恒例の「集めているものを並べてもらう」がなかなか難しかった。
というのは、瀬田さんはあまりものに執着しないタイプというか、コレクター気質とは遠いところにいらっしゃるというか、上手く説明できないんだけどそういう方のようだったので。
これ、編集の田村さんとぼくがいわゆる「マニア」なのでこの企画になったようなものだ。
考えてみればぼくらはかなり偏った嗜好の持ち主だった(ここらへんの詳細については前回の田村さん自身の部屋紹介を参照のこと)。みんながみんな何かを集めているわけじゃないよな。そりゃそうだよな。
少し悩んでいただいた結果(すみません)、やはりキャンドルと好きな旅の本を並べていただいた。
この本たちを見て瀬田さんとこの部屋の雰囲気について、それこそ「最後のピースがはまった」感じがした。
出していただいたのはレイヴのガイド本や、世界のすてきな島の写真集、そしてイビザ島とバーニング・マンの本だ。
前出のキャンドル。そして世界の島を紹介した本たち。軍艦島の写真集もある!
詳しく説明すると長くなるのではしょりますが、イビザは世界遺産に登録されている歴史豊かな島なのだが、なんといってもヒッピー文化の再来と言われた「セカンド・サマー・オブ・ラブ」の聖地として有名だ。
またバーニング・マンはアメリカの何もない砂漠のど真ん中で年に一回行われるすごいイベントだ。ぼくは以前から一度行ってみたいと思っていた。
瀬田さんはなんと参加したことがあるという。すごいなー!いいなー!これ、説明不可能なのでWikipediaなどを見てもらいたい。
簡単に言うと、これもやはり現代におけるヒッピー文化の再解釈的なイベントだ。
リビングからキッチンを見たところ。いわゆるマンションによくあるレイアウトなんだけど、瀬田さんのアレンジでこんなにかっこよく。スツールいいなー。
びっくりしたのはバスルーム。
「このユニットバスっていうのが、借りるとき迷った点だったんですけど、場所も部屋も気に入ったので」と瀬田さん。その唯一の弱点を自分でアレンジ。
この洗面台の棚も自作! すごいなあ。
瀬田さんの整備・再生産の場所
さて、「最後のピースがはまった」とはどういうことか。ぼくは、人は場所によってキャラクターを切り替えるものだと思っている。気分転換に散歩に出かけたりするのは、場所を変えると人が変わるからだ。
ぼくらはなんとなく人格は一定しているものと思いがちだが、アイデンティティは場所の方にあって、人間の身体はその受信装置に過ぎないのではないかと思う。って、なんか大げさで適当なこと言い出したぞ、ぼく。
仕事/趣味/生活などの違いによって人は立場やキャラクターを切り替えるが、その際に鍵になっているのは部屋だと思うのだ。
多くの家庭の問題って、長い通勤を経てオフィスという場所で完全に人格を切り替えられてしまうのが原因ではないかと思っている。
仕事と生活の場所が地理的にも雰囲気的にも分断されすぎているというか。
しかし瀬田さんの場合、これらが実に自然にひとつになっている感じがしたのだ。瀬田さんのご職業はお医者さまだ。
おもしろいと思ったのは、いろいろなイベント会場で医療救護の活動も行っているというお話。
これを聞いて、きっと瀬田さんにとってイベント場は趣味の部屋であり、仕事場でもあるんだろうな、と思った。
そして今回おじゃましたこの部屋は、いうなればそういう瀬田さんのキャラクターの整備・再生産の場所なのだ、と。
「今後はもっと緑をふやしていきたいです」と瀬田さん。
うん、やっぱりなんだか大げさな言い方になってしまったぞ。
だけど「友達がよく来るんだけど、たまり場になりすぎないように気をつけないと」と笑う瀬田さんの話を聞いて、きっとその友人たちはこの部屋に「イベント会場感」を感じているに違いないと思う。
上手く言えないけど、そういう部屋でした。またおじゃましたいな。
恒例の「ねっころがってポートレート」。横になってもかっこいいぞ瀬田さん!
写真と文:大山 顕
“ヤバ景” フォトグラファー / ライター。1972年11月3日生まれ。住宅都市整理公団総裁。出版、テレビ出演、イベント主催などを行う。
「”ヤバ景”って何?」「”総裁”っておおげさじゃない?」など各種ご興味がわいた方は OHYAMA Ken.com にいってみてください。
Twitter (@sohsai)/Facebook
最後にもう一度、編集部から。
グッドルームのオリジナルリノベーション「TOMOS」のお部屋は、都内を中心に、毎月10~20部屋登場します。
TOMOSに住んで、そしてぜひ大山さんに写真を撮ってもらいましょう。
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