プロに教わるハンドドリップコーヒーの淹れ方。正しい手順と美味しく淹れるコツ
ほっと一息つく瞬間。ついついコーヒーに手が伸びてしまいますよね。眠気覚ましにコーヒーを飲んで、集中力を高めるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
コーヒースタンドやコンビニなどでも手軽にいつでもお店の味のコーヒーが飲めるようになってきましたが、飲む直前に豆から挽いて、自分でじっくりと愛情を注いで淹れたコーヒーの美味しさはまた格別。
でも、コーヒーの淹れ方ってどうやるんだっけ……。コーヒーが好きで器具まで揃えたけど、正しいコーヒーの淹れ方は知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、自宅でプロの味が楽しめるコーヒーの淹れ方の手順や、美味しく淹れるコツをご紹介します。前編では初心者の方でも手軽に始めやすい、ハンドドリップでの淹れ方です。
動画でサクッとわかる。ハンドドリップコーヒーの美味しい淹れ方
今回ハンドドリップコーヒーの淹れ方を教わるのは、CAFÉ DU SOLEILの松本さん。埼玉県加須市にひっそりと佇む隠れ家のようなカフェのオーナー。
会社員時代からコーヒーが好きで、ランチからの喫茶店でいただくコーヒーが毎日の楽しみ。
コーヒーを追求して美味しいコーヒーをたくさんの人に提供したいとの思いが膨らみ、脱サラしてカフェを経営。お店ではコーヒーに合うメニューも充実し、得料理はパスタで、松本さんのお母さん発案のジンジャーソースがお店の人気メニュー。
ハンドドリップコーヒーとは?
ハンドドリップは基本のコーヒーの淹れ方のひとつ。フィルターにコーヒー粉を入れて、上からお湯を注ぐことで、淹れたてのコーヒーを楽しむことができます。
用意する道具も少ないので、自分で手軽にコーヒを淹れてみたいという方におすすめの方法です。
ハンドドリップコーヒーに必要な道具
- コーヒーフィルター …ドリップ時にコーヒー粉をろ過するもの
- ドリッパー …カップ形で底に小さな穴のあいた器具
- サーバー …ドリップされたコーヒー液が溜まる容器
- ドリップポット …お湯を注ぐケトル
サーバーやドリップポットは、自宅にある代用できそうなものをご使用いただいても構いませんが、コーヒーフィルターとドリッパーは専用のものを揃えましょう。
ドリッパーはなにを基準に選ぶといい?
ドリッパーには穴の数にいくつか種類があり、2つや3つの穴があいているものがありますが、松本さんのおすすめは1つ穴のドリッパー。
1つの穴からじっくりと時間をかけてコーヒーが抽出されるので初心者の方でも失敗しにくいそう。
味のムラがなくいつ淹れても同じように美味しいコーヒーが淹れられ、特に深煎の豆に合います。
ドリップ後のコーヒーの残った粉の形から美味しく淹れられているかどうかの判断もしやすいとのこと。
ドリップ前の下準備
フィルターを選ぶポイントはサイズ感
コーヒーフィルターには布(ネル)製やステンレス、セラミックなど様々な種類があり、素材によってコーヒーの味わいも変わると言われますが、はじめは最も代表的なペーパーフィルターから挑戦してみましょう。
手に入りやすく扱いも楽で、ドリップ後にフィルターごとまとめて捨てられるので衛生的です。
フィルターを選ぶポイントは、サイズ感。小さすぎず大きすぎずドリッパーにしっかりとフィットしたものを選びましょう。
ペーパーフィルターを使用する場合は、つなぎ目の部分を折ってからドリッパーにはめるとフィルターの浮きが抑えられます。
コーヒー豆はドリップ直前に挽く
ハンドドリップコーヒー1杯に対してコーヒー豆は12g。ミルで挽く前に計量しておきましょう。
豆を挽くタイミングはドリップの直前が鉄則。
挽いた豆をそのまま放置しておくと酸化して香りや味わいが変わってしまうので、豆を挽くのはギリギリまで我慢しましょう。
コーヒーミルにも電動や手動などがありますが、お好みのミルをご使用ください。挽き具合は、一般的で味のバランスも良い中細挽きがおすすめです。
ドリップは器具を温めてから
そのまま器具を使用すると、せっかく沸騰したお湯を入れても容器に触れたとたんに温度が下がってしまうため、ドリップは器具を湯通して温めてから行います。
サーバーにドリッパー、フィルターを重ねた上から、コーヒー粉が乗るあたりにまんべんなくお湯をさっとかけて蒸気で器具を温めます。
お湯が落ちきったらサーバーのお湯を捨てて準備完了です。
お湯が冷めないうちに手早くがコツ。ハンドドリップでの抽出方法
湯通し後は器具が冷めないうちに手早く淹れ終えるようにしましょう。ハンドドリップでは、お湯は160cc注ぎます。
コーヒー粉をフィルターに入れてトントンと揺らして平らにならし、お湯は数回に分けて注いでいきます。
まずはじめに、お湯を中央めがけて平仮名の”の”を書くように優しく20ccを目安に注ぎ、20秒間お湯が落ちるのを待ちながらフィルターの中でコーヒーを蒸らします。
この時に、計りに乗せて作業をするとお湯の計量が楽に行なえます。
先に注いだ20ccのお湯がポタポタと落ちてきたら本格的にドリップの作業を始め、残りの140ccのお湯を約2〜3回に分けて注ぎます。
フィルターに直にお湯が触れないようコーヒー粉の上に乗せるイメージで、サーバーに抽出されたコーヒー液が落ちきる前に残りのお湯を注いでいきます。
この時に出てくる泡はエグみなどの原因にもなるので、泡は消さないよう上に残して、美味しい部分を下にしてドリップするのが美味しいコーヒーを淹れるポイントです。
合わせて160ccのお湯を注いだらコーヒー液がサーバーに落ちきるのを待ちます。
ドリップ後のコーヒー粉の中央がくぼみ、外側に粉が盛られ泡も残っている状態が美味しく淹れられた目印です。
コーヒーは器具同様、温めたカップでいただいてくださいね。
ハンドドリップコーヒーを美味しく淹れる手順とコツのおさらい
ハンドドリップコーヒー1杯あたり
- コーヒー豆12g
- お湯160cc
ドリップの手順
- コーヒー豆はドリップ直前に挽く
- 湯通しをして器具を温める
- 挽いたコーヒー豆をフィルターに入れて平らにならす
- お湯を20cc注いで20秒蒸らして待つ
- 残りの140ccを3回に分けて注ぐ
美味しく淹れるコツ
★ 湯通しからはコーヒーが冷めないうちに手早く淹れ終える
★ エグみなどの原因になる泡は消さないように抽出する
コーヒーの気になるあれこれ、教えてください。
ここまで、ハンドドリップの基本的な方法を教えていただきました。他にも、コーヒー好きが常日頃から気になっている疑問について、CAFÉ DU SOLEIL松本さんが答えてくれました!
コーヒー初心者なのですが、どんな豆から始めたらよいのでしょうか?
コーヒーの酸味が苦手な方もいらっしゃいますよね。日本人は深煎が好きな方が多い印象なので、初心者の方は飲みやすくてスタンダードな深煎りのコーヒーから挑戦してみるといいと思います。
でも、酸味のあるコーヒーも実は楽しい世界なんですよ。ベリーの香りのものがあったり、浅煎りになるとだんだんと紅茶のような風味にもなっていったりするので、深煎から入ってどこかのタイミングで浅煎りも冒険して、コーヒーの世界をどんどん広げて楽しんでいただきたいです。
コーヒー豆を選ぶときのポイントは?
豆にも色々な種類があり、浅煎りと深煎とで結構味わいが変わってくるので、まずは自分がどんなコーヒーが好きかをざっくりとでも把握しましょう。飲んでみて、好きか嫌いかで判断して構いません。
ただ、とにかく美味しいコーヒーを飲みたいという方は丁寧にハンドピックされているかどうかを基準に選ぶと良いと思います。煎り方も味を左右しますが、人の手で時間をかけて欠点豆をしっかりと取り除いてくれているものを選んでみてください。
欠点豆が入っているとエグみなどの原因にもなって、ハンドピックされているのといないのでは飲み比べると美味しさが断然変わるんです。
コーヒー豆の保管方法は?
冷所に置いて密閉したり、冷凍庫や冷蔵庫で保管したり、酸素を抜くといいと言われていたり色々な方法がありますが、一番良いのは保存しないことです。どんなに上手く保存しても煎りたて・挽きたての豆には敵いません。
常にコーヒー豆が新鮮な状態で、飲む分だけ少量を買って自宅にたくさんストックはしない。保存はあまりしないで、どんどん飲んで、なくなったらまた少しだけ買いに行く。ぜひ、これを実践していただきたいです。
ハンドドリップコーヒーで至福の1杯を。
ハンドドリップコーヒーは、自分でコーヒーが淹れてみたいという方にとってもおすすめ。フィルターとドリッパーがあれば手軽にはじめられます。
まずは基本を抑えたうえで、コーヒー豆やお湯の量を減らしたり増やしたり、色々と試してみながら自分の好みの味を見つけてみてくださいね。
知れば知るほど奥が深いコーヒーの世界。後編ではサイフォン式のコーヒーの淹れ方をご紹介します。ぜひお楽しみに。
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